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遺産相続レポート

自筆証書遺言の訂正

2017.10.09

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こんにちは。横浜事務所の肥田です。今回は、「自筆証書遺言の訂正」をテーマにお話させて頂きます。

たとえば、契約書等の書類の誤記を訂正する場合は、訂正箇所に二重線を引いた上で加除修正し、訂正印を押印する方法が一般的ですね。私も、仕事柄、「訂正印も忘れずにお願いしますね」という言葉をよく口にしている気がします。では、自筆証書遺言を訂正する場合も、このような訂正方法で大丈夫なのでしょうか?

―結論を先に申し上げますと、答えはNOです。

実は、自筆証書遺言は、書き方だけでなく、訂正方法についても厳格なルールが定められています。民法には次の定めがあります。

民法968条2項

自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

少しわかりづらい条文ですが、簡単にご説明しますと、一般的に用いられている訂正印を用いる方法では不十分で、これに加え、余白部分に「本遺言書○行目「○○」を「△△」に訂正した。朝日太郎(署名)」などといった具合に、変更場所を指示した上で変更した旨を付記し、署名をしなければなりません。

以前私の扱った自筆証書遺言の案件で、元々書いてあった部分を塗りつぶしてその横に「自宅」と記載し、さらに「自宅」を斜線で消して「借り地」に訂正し、これを妻に相続させると記載していたものの、訂正場所に一切押印がなく、また、変更の旨の付記及び署名も無かったという事案があります。

この事案では、残念ながら、遺言に基づく不動産の所有権移転登記の申請(法務局)は通りませんでした。遺言の重要部分に訂正の方式違反があるうえ、文章の明確な解釈ができないというのがその理由でした。この事案では、結局、全相続人による遺産分割協議を経る方法によって解決しました。なお、自筆証書中の証書の記載自体からみて明らかな誤記の訂正にすぎない加除その他の変更に方式違反があっても、遺言の効力自体に影響を及ぼすものではないと判示する判例(最判S56.12.18など)もあります。

私たちは、トラブルの起こりにくい公正証書遺言をお勧めしていますが、もし、自筆証書遺言による場合は、書き方だけでなく、訂正の仕方にも十分留意する必要があります。

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