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遺産相続レポート

不動産の共有分割と相続

2017.12.18

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遺産分割において、被相続人の不動産を誰に、どのように分けるかは、相続においてもっとも重要で、難しいテーマの一つです。なぜなら、預貯金等の金融資産が数量的に簡単に分配できるのに対して、不動産はそう簡単に切り分けて相続するというわけにはいかないからです。ひとえに不動産の分割方法といっても、その方法には、(1)現物分割、(2)代償分割、(3)換価分割、(4)共有分割と様々な種類がありますが、今回は、その中の「共有分割」という分割方法及びその問題点についてお話したいと思います。

共有分割とは、遺産の全部または一部を、相続人の全員、または一部の人に、共有で取得させる分割方法をいいます。 具体例を見てみましょう。6000万円相当のマンション及び3000万円の金融資産を遺して被相続人が死亡したとします。相続人は長男、二男及び長女の3人で、被相続人の遺言書には、「マンション及び金融資産を含めて各自3分の1ずつ平等に相続させる。」と書かれていたため、その通りに分割手続きを進めました。
さて、一見すると3人の相続人が平等の遺産を取得しているため、公平で合理的な遺産分割であるようにも思えます。ところが、不動産であるマンションを相続人3人で3分の1ずつ共有してしまうことにより、以下のような問題を生じ、紛争の種をまくことになる恐れがあるのです。

(1)共有不動産の「変更」に該当する行為は、共有者全員の同意が無ければできない

民法251条は、「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。」と定めています。問題は、何が共有物の「変更」に該当するのかと言うことですが、具体例をいくつか挙げると以下のとおりです。

  1. 共有不動産の売却
  2. 共有不動産の建替え・大規模修繕
  3. 共有不動産への抵当権等の設定
  4. 借地借家法の適用がある又は短期賃貸借(民法602条)の期間を超える賃貸借契約の締結

つまり、先程の例で言うと3人で相続したマンションを売却、建替え(又は大規模修繕)、新たに賃借する場合にも、3人全員の同意が無ければ何もできないということになります。3人の人間関係が良好で意見も一致している間は、問題は顕在化しませんが、一度マンション経営の方針を巡って対立が生じてしまうと、マンション経営に関する重要決定は何も決まらないという最悪の事態になる恐れがあります。

(2)共有不動産の「管理」に該当する行為は、持分価格の過半数によって決める

民法252条は、「共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。※但書は省略」と定めています。つまり、先程の例で言うと共有不動産の「管理」に該当する行為は、3人中2人の賛成があればできるということになります。「管理」に該当する具体例をいくつか挙げると以下のとおりです。

  1. 借地借家法の適用を受けない及び短期賃貸借の期間を超えない賃貸借契約の締結
  2. 賃貸借契約の解除
  3. 使用貸借契約の解除

先程の例で言うと、マンションへの新規入居者と契約する場合は、通常借地借家法の適用を受ける賃貸借となりますので、「管理」ではなく「変更」に該当することになり、3人全員の同意が必要です。したがって、実際のところ「管理」行為として過半数の決定で行えることはかなり限られていると言え、重要決定は「変更」行為として共有者全員の同意が必要になります。

(3)不動産を長期間共有状態にしておくと権利関係が複雑化する恐れがある

先程の例で、マンションを3人で共有したまま長期間が経過し、長男と二男がそれぞれ亡くなったとします。長男には妻と子どもが2人、二男には妻と子どもが3人いたという場合、長男と二男のマンションに対する共有持分は、それぞれの相続人に承継されることになりますので、マンションの共有者は全員で8名(長女、長男の妻及び子ども2人、二男の妻及び子ども3人)という状況になります。

こうなると共有者全員の意見を一致させることは格段に難しくなり、ますますマンション経営は行き詰まる可能性が高くなります。これと同じ要領で、その後も共有者が死亡し、その相続人が権利を引き継いでいった場合、長い年月が経過すると共有者が数十名に上るという事態も考えられます。現実に、共有者が非常に多数いるため売却することも、他人に貸すこともできず、全く活用されないまま放置されている不動産は全国に多数存在すると言われています。

このように、不動産の共有状態を長期間継続することは、不動産の権利関係を複雑化し、その後の不動産の活用を大きく阻害する恐れがありますので、相続で止む無く不動産を共有にした場合でも、可能な限り早期に共有関係を解消するための努力を行うことが望ましいと言えます。

以上のとおり、相続において不動産を安易に共有状態にしてしまうと、様々な弊害を生じ、せっかくの不動産が有効に活用できない恐れがあります。最悪の場合には、共有物分割訴訟等により解決せざるを得なくなり、無用な相続紛争を招いてしまう可能性もありますので、不動産を共有で相続させることは可能な限り避けるか、あるいは共有にした場合でも早期に出口戦略を検討することが重要であると言えます。

このレポート執筆の弁護士

高良 倉充

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