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遺産相続レポート

寄付と相続

2018.01.08

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現在、少子高齢化が社会問題となっていることからも明らかなとおり、子供のいない夫婦の割合は、年々増加傾向にあります。 このような子供のいない夫婦の場合、遺言書がなければ配偶者及び兄弟姉妹が相続人となります(民法第889条第1項第2号)(但し、遺言者の両親、祖父母が既に亡くなっている場合を前提とします)。

しかし、このような方々の中には、既に疎遠になってしまっていることから、兄弟姉妹には遺産を遺したくない、むしろ、これまでお世話になった福祉施設や地元の市区町村等に寄付をして恩返しをしたい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。 実際、私がこれまでに扱った案件でも、自身の死後に残った遺産は、兄弟姉妹ではなく、これまでお世話になった福祉施設や地元の市区町村また公益財団法人や大学などの研究機関に寄付したい、とのご意向を示される方が多数いらっしゃいました。 このような場合、法律上は、遺言書を作成して福祉施設や地元の市区町村に寄付することは可能です。しかし、本当に福祉施設や市区町村また公益財団法人や大学などの研究機関が寄付を受け取ってくれるのでしょうか。

そこで、今回は、遺言によって寄付する場合の注意点についてお話ししたいと思います。

ご自身が亡くなった後の財産には、不動産、預貯金、株式等の金融資産、家財道具等、様々なものがあります。
このうち、金融資産については、預貯金の払戻しを受けたり、株式に関しては売却したりして、現金化することができます。このような現金については、通常、寄付を受けても何ら負担にはならないことから、多くの場合、寄付を受け付けてくれます(但し、実際は、遺言執行者にて、株式については、全て金銭に換価しておくことが必要となる場合も多いです)。

では、金融資産以外についてはどうでしょうか。
例えば、幼少のころから長い間、大阪市で生活していたAさんがいるとします。Aさんは、長い間大阪市にお世話になっていたため、自分が亡くなった後に残った遺産を大阪市に寄付したい、と考えていました。なお、Aさんが所有する財産は、自宅土地建物と預貯金合計500万円、自宅建物内の家財道具等であったようです。この場合、大阪市は、このAさんの自宅土地建物や建物内の家財道具を受け取ってくれるでしょうか。

大阪市の立場から考えてみましょう。確かに不動産は、売却することができれば、それなりに大きな収入となるため、一見すると、大阪市にとってメリットがあるように思われるかもしれません。
しかし、皆さんもよくご存知かと思いますが、不動産は容易に売却することができるものではありません。特に、自宅不動産の場合、自宅建物内に残置物があるため、実際に不動産を売却するためには、まず、専門業者に依頼して自宅建物内の残置物を撤去し、さらに、不動産業者に依頼して、売却先を見つけてもらう必要があります。なお、当然、売却先が見つからない可能性もゼロではありません。
以上のとおり、不動産の売却(家財道具類の処分も含みます)には費用や多くの手間を要するにもかかわらず、確実に売却先が見つかるどうか分からないということとなってしまいます。

そこで、大阪市としては、そのような費用を市民による税収から支出することは妥当ではないため、不動産及び家財道具類の寄付自体を受けるべきではない、と判断する可能性も出てくるのです。

このように、一口に寄付といっても、寄付の対象となる財産は多岐にわたり、当該財産を寄付として受け取ってもらえるか否かも、受け取る側の判断によって変わることとなります。
そのため、対策としては、遺言執行者を専門家に依頼して、遺言の手続きをお願いする形にしたうえ、遺言執行者にて、不動産を売却(家財道具類の処分も含みます)して、その換価金を寄附する旨の内容の遺言書を事前に作成して対応するという方策もあり得ると考えます。 また、遺言によって福祉施設や市区町村に遺産を寄付しようと考えている方は、事前に寄付先に連絡したうえ、どのような条件であれば、遺産を受け取ってもらえるのか確認しておくことが望ましいでしょう。

このレポート執筆の弁護士

別所 大樹

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