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遺産相続レポート

遺言の無効と遺言能力について

2018.10.01

遺言の無効と遺言能力

1.遺言が無効になる場合

 

遺言には法律で決められた方式があり、方式に違反した遺言は原則として無効になります(民法960条、968条、969条、970条)。方式違反の具体例としては、以下のようなものがあります。

  

自筆証書遺言の場合

      
  1. 手書きではなくパソコンで書いた遺言書
  2.   
  3. 押印が無い遺言書
  4.   
  5. 日付の記載が無い遺言書
  6.   
  7. 遺言者の署名が無い遺言書
  

公正証書遺言の場合

      
  1. 証人の資格が無い者が立ち会って作られた遺言書
  2.   
  3. 証人が席を外している間に作られた遺言書
 

自筆証書遺言は、公証人などの専門家のチェックを受けないまま、遺言者が単独で作成することも多いため、方式違反により遺言が無効となる場合も珍しくありません。これに対し、公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が方式・内容をチェックし、さらに証人2名も立ち会って確認を行いますので、方式違反により遺言が無効となる場合はほとんどありません。

 

方式違反の他に遺言が無効になる場合としては、公序良俗に反する場合や遺言能力が欠如している場合などがあります。公序良俗に反する場合とは、例えば不倫関係を続けることを主目的として不倫相手に財産のほとんどを渡すという内容の遺言書を作成する場合などが考えられます。遺言能力の欠如については、以下で詳しく説明します。

2.遺言能力について

 

遺言能力(民法961条、962条、963条)とは、自分の遺言の内容を理解し、遺言の結果を認識できるだけの判断能力のことを言います。例えば、認知症が進行し自分がどれだけの財産を持っているのか、自分が亡くなったらどう財産を分けたいのかについて認識・判断ができない状態になっている場合には、もはや遺言能力は無いものと考えられます。

 

遺言能力が無い状態で書かれた遺言は無効となります。問題は、遺言作成当時に遺言能力があったのか無かったのかをどのように判断するかです(この時点では遺言者は既に死亡しているので、残された資料を基に判断するしかありません。)。裁判実務では、遺言能力の有無を判断するにあたって、以下のような要素を総合的に考慮して判断するのが一般的となっています。

 

遺言能力を判断する際の主な考慮要素

     
  1. 遺言者の年齢
  2.  
  3. 病状を含めた心身の状況及び健康状態とその推移
  4.  
  5. 発病時と遺言作成時との時期的関係
  6.  
  7. 遺言作成時及びその前後の言動
  8.  
  9. 日頃の遺言についての意向
  10.  
  11. 受贈者(遺言で財産の受取人に指定されている人)との関係
  12.  
  13. 遺言の内容

中でも遺言能力の有無を判断するにあたって特に重要な資料となるのが、遺言作成時前後の遺言者に関する医療記録です。分かりやすい例で言えば、遺言書が書かれた日付の時点で、既に遺言者が医師から重度の認知症等の診断を受けており、遺言者に判断能力が無かったことを裏付ける診断書等の記録が残っている場合です。

この場合には、客観的な資料を基に遺言能力の有無を判断することができます。したがって、遺言能力が無かったことを立証する側としては、遺言作成時前後に遺言者が認知症等の病気に罹っていたことを示す医療記録等の証拠を集めることが非常に重要なポイントとなります。

遺言能力の有無の判断は、医学的要素以外に遺言の内容や遺言の経緯などその他のあらゆる事実を総合的に考慮する法律的な判断です。遺言者の疾患を裏付ける医療記録の他にも、遺言者が高齢であるにも関わらず遺言内容が複雑で理解困難と思われる場合や、生前特に親交の無かった第三者に財産の大部分を遺贈するなど遺言内容が不自然である場合なども、遺言能力を否定する要素として考慮されることになります。

3.まとめ

方式違反など遺言が無効になる場合はいくつかありますが、その中でも訴訟で争われることが多いのは遺言能力の有無に関する点です。ご説明したように遺言能力の有無に関する判断は、医学的要素の他に遺言内容や遺言作成の経緯等あらゆる事情を総合的に考慮して行いますので、法的に争う場合は高度の専門知識とノウハウが必要になります。遺言の無効に関して具体的な相談がある場合は、是非一度弁護士にご相談ください。

このレポート執筆の弁護士

高良 倉充

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