ご相談受付

0120-956-251 受付時間:平日9:00~19:00

Q&A法律相談

第8 相続人の不存在

相続人の不存在と特別縁故者

私の伯母は、身寄りのない(相続人となる者がいない)男性と30年に亘り同棲していましたが、その男性がこの度亡くなりました。遺言らしきものもありません。伯母は相手の男性の財産から何ももらえないのでしょうか。

ご質問のケースは、相続人不存在の場合の処理に関わる問題です。
相続発生時に、被相続人の相続資格を有する者(代襲相続人ほか包括受遺者を含む)が存在しない場合や、相続人はいるけれども全員が相続放棄をしたような場合に相続人が不存在となります。(但し、非嫡出子は父の死亡後3年間は認知を請求できますので、父(被相続人)の死後に非嫡出子の認知請求が認められた場合には、事後的に相続人が発生するという場合もあります。)

相続人不存在の場合、被相続人の財産は相続財産法人となり、家庭裁判所によって、管理人が選任されるとともに、公告がなされます。公告とは官報等により相続の発生、相続財産法人を告知することをいい、債権者に対する公告と相続人に対する公告があります。債権者に対する公告とは、相続の告知により、被相続人に対して債権を有していた債権者に届出をさせて、相続財産からその債権の弁済をする手続です。いわば一種の清算手続です。相続人に対する公告とは、相続の告知により、本当に相続資格を有する者がいないのか、最後の発見の機会を与える手続です。この期間内に相続人として届出をしなければ、相続人の不存在が確定することとなります。

相続人不存在の確定後、特別縁故者(相続人ではないが、相続人と特別な関係を有した者)がいる場合、その者からの請求により、家庭裁判所の判断で相続財産の一部または全部を分与することができます。
債権者への弁済、特別縁故者となるべき者があった場合の財産の分与した後、清算、分与されない残余の相続財産があるときは、国庫に帰属することになります。

本件において、「伯母」は30年間内縁の夫とともに生活をしてきたとのことですので、特別縁故者として遺産一部または全部を受け取れる可能性がありますが、そのためには上記のような手続を経る必要があります。