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Q&A法律相談

第6 相続財産

使用借権の相続

亡くなった父は、懇意な親戚から土地を無料で借りて、駐車場を営んでいました。
私は唯一の相続人ですが、父の営業を引き継いで、駐車場を経営することが出来るでしょうか。

ご質問の内容は、法律的には、土地の使用借権を相続できるかという問題となります。
使用借権とは、使用貸借契約によって発生する権利であり、目的物を無償で使用・収益できる権利です。使用貸借契約では、借主は無償で目的物を使用収益すり一方、通常の必要費を負担することとなります。他方、使用期間については、契約に明示されるか使用貸借契約の目的を解釈することによって決まりますが、それらの定めがない場合は、貸主はいつでも返還請求ができます。このように借主が一方的に利益を得ることができる使用貸借契約は、親族間や、特別な恩顧がある者同士でとられる契約形態です

そこで、使用借権ないし使用貸借契約上の借主の地位について、相続があり得るかという問題ですが、民法上、使用貸借は借主の死亡によってその効力を失う(599条)、と規定されているため、使用借権は、原則として相続できません。これは、使用借権は、貸主、借主間の特別且つ個人的な人間関係、信頼関係に基づく権利であり、借主個人に注目して一方的な利益を与える趣旨であるため、借主の一身専属権としてとらえるべきであり、その相続人と当然に同程度の信頼関係があるとはいえないからです。

しかし、そうであれば、個人的な人間関係、信頼関係が、借主の相続人にも承継される場合には、形式的に相続を否定すべきでなく、使用借権も相続されるとするか、貸主と借主の相続人との間で、新たな使用貸借契約が発生すると解釈される場合があります。 信頼関係が借主の相続人にも承継される場合とは、貸主が借主に扶養してもらう代わりに不動産の無償使用を認めるという関係のもと、借主の相続人も貸主への扶養義務を承継することが決まっている場合等です。

ご質問のケースでは、借主の相続人が信頼関係を承継する場合といえるかは明らかではありませんので、もし、駐車場の経営を承継したいのであれば、貸主である親戚の方の意思を確認する必要が在るでしょう。