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Q&A法律相談

第9 相続の承認・放棄

承認・放棄の撤回・取消

父が亡くなった後、兄から父は借金だらけで、プラスの財産は相続できないと言われ、私は相続放棄しました。
ところが、その後、借金は殆ど返済されており、兄にはプラスの財産が転がり込んでいました。
一旦した相続放棄は撤回できないのでしょうか。

相続の承認や放棄は、 相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければならないと規定されています。この期間を熟慮期間といいます。通常は、被相続人の死亡時が熟慮期間の起算点となります。 一度行った相続の放棄や承認は、熟慮期間内であれば自由に撤回することができるのか、また相続の放棄や承認を取消すことはできるのかが問題となります。

撤回とは、特段の理由なく、撤回者の一方的な意思によって、法律行為をなかった状態に戻すことをいいます。相続の承認及び放棄は、熟慮期間内であっても撤回することはできません(民法919条1項)。たとえ熟慮期間内であっても、一方的な撤回を認めれば、相続に関する法律関係を不安定にするため、撤回が禁じられています。

取消しとは、取消事由がある場合に、取消権者の一方的な意思によって、法律行為をなかった状態にもどすことをいいます。撤回と異なり、相続の承認及び放棄がなされた後でも、 民法総則編及び親族編に規定される取消原因がある場合には、 取消しを行うことが認められています (民法919条2項)。 この場合、取消権者を保護する必要性が高いからです。
具体的な取消事由としては、相続の放棄や承認に際して、未成年者が法定代理人の同意を得なかった場合や詐欺又は強迫によりそれらがなされた場合等です。

なお、相続の承認、放棄の取消には、6か月間の短期消滅時効及び10年間の除斥期間が設けられています。