相続問題の専門知識

相続税

相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産がある場合の取扱い

6. 相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産がある場合においては、相続税の取扱いはどのようになりますか

被相続人が相続人に対して生前贈与していた財産についても、相続税が課せられることがあります。 相続税法では、相続又は遺贈により財産を取得した者がその相続の開始前3年以内にその相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の贈与時における価額を、その贈与を受けた者の相続税の課税価格に加算する旨(生前贈与加算)が規定されています。 つまり、財産の贈与が行われた後に贈与者が亡くなった際には、亡くなった日から遡って3年前の日から亡くなった日までの間に贈与された財産については、贈与を受けた人が亡くなった人から相続又は遺贈により取得した財産(相続又は遺贈により取得したとみなされたものを含む。)があれば、贈与税申告の有無に関わらず、相続税の計算に含められることになります。

なお、生前贈与加算の対象となった財産につき贈与税を納付したのであれば、その贈与税額のうち一定額については、その贈与を受けた人の納付すべき相続税額の計算上、控除されます(詳細については、「相続税の計算において税額控除できるもの」をご覧下さい)。

(1) 生前贈与加算についての注意点

  • 贈与を受けた年の贈与税の課税価格が110万円以下であったために贈与税の納付額が生じなかった場合や、被相続人が亡くなった年に贈与を受けた場合であっても、被相続人からの贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算します。
  • 相続税の課税価格に加算する贈与財産の価額は、贈与時における価額となります。例えば、贈与時において300万円の価額だった財産がその後値上がりし、相続発生時において500万円の価額になっていたとしても、300万円を生前贈与加算します。
  • 生前贈与加算は、相続又は遺贈により財産を取得した人についてのみ適用されます。例えば、贈与により財産を取得した相続人が相続放棄をしたため相続により財産を取得しなかった場合は、生前贈与加算は適用されず、贈与税の課税関係でのみ完結することになります。

(2) 生前贈与加算の対象とならない贈与財産

次の1~4の贈与財産については、相続開始前3年以内の贈与であっても、生前贈与加算の対象となりません。

  1. 贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうちその配偶者控除額に相当する金額
  2. 直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち贈与税の非課税特例の適用を受けた金額
  3. 直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち贈与税の非課税特例の適用を受けた金額
  4. 直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち非課税特例の適用を受けた金額