ご相談受付

0120-956-251 受付時間:平日9:00~19:00

相続問題の専門知識

遺産分割

遺産分割審判とは

遺産分割審判とは

遺産分割調停が不成立になった場合には、遺産分割の審判へ移行し、裁判官(家事審判官)が遺産の分割方法を決定することになります。なお、調停が不成立で終了した場合には、当然に審判手続に移行することとされていますので、別途家庭裁判所に審判の申立てをする必要はありません。

遺産分割審判では、遺産の評価、特別受益、寄与分等、相続人間で争われている点について、証拠に基づいて確定的に判断してもらえますので、協議が合意に至らなかったとしても、最終的に何らかの解決ができます。ただし、遺産分割調停のみならず審判まで行う場合には、多大な時間や手間がかかります。また、遺産分割審判に至った場合には、柔軟な解決を図ることはほとんどできません。たとえば、遺産分割審判では、遺産分割の対象となる財産についての判断しかできません。

さらに、遺産分割の前提問題や、遺産分割に付随する問題については、遺産分割審判では判断されず、地方裁判所に対して別途民事訴訟を提起して解決するほかありません。

遺産分割審判の手続

1. 当事者

申立人は、相続人や、相続分を譲り受けた人等です。相手方は、他の相続人全員です。相続分を譲渡した人や、自ら相続権を放棄した人は、相続人にあたりません。

2. 管轄

遺産分割審判における管轄は、被相続人の相続が開始したときの地(被相続人の最後の住所地です。)を管轄する家庭裁判所の管轄に属します。ただし、相続人全員が合意した場合には、その合意で決めた家庭裁判所で審判をすることもできます。合意は書面でする必要があります。

3. 申立書の提出

調停申立書には、当事者の記載のほか、申し立ての趣旨や理由、特別受益の内容等を記載します。また、遺産目録を添付します。申立人は、申立書の写しを相手方に送付する必要があります。これは、相手方全員に送付する必要がありますので、相手の人数分をコピーする必要があります。

4. 答弁書の提出

相手方は、申立書の写しを受け取ってから、おおよそ一週間以内に、家庭裁判所に、答弁書、進行照会回答書、連絡先届出書を提出しなければなりません。申立人は、閲覧・謄写の請求をすれば、これを閲覧することができます。

審理の方式

1. 事情聴取

審判では、期日に当事者の双方が出席して、これらの当事者に陳述をさせることによって行います。すでに当事者から十分な主張がなされていて、裁判所がすでに十分な判断を形成できている場合には、上のような期日を指定せずに、当事者の陳述を書面によって確かめる方法によることもできます。

調停手続が、当事者の合意による、自主的な解決を目指した手続であるのに対して、審判手続は、裁判所が事実関係を確認して、公的な判断をする手続です。なお、調停と審判は全く別の手続ですので、調停手続の中で、当事者から提出された資料が、そのまま審判でも資料になるわけではありません。

2. 主張書面、証拠資料の提出

家庭裁判所は、相続人に対し、遺産の範囲や評価、特別受益や寄与分について、自分たちの主張を裏付ける書面を提出するよう求めることができます。(主張を記載した書面を「主張書面」といいます。)また、家庭裁判所は、相続人に対し、これらの主張を裏付ける証拠となる資料を提出するよう求めることができます(これを「証拠資料」といいます。)。証拠資料には、戸籍や住民票等の身分関係を証明する書類や、固定資産税評価証明書や登記事項証明書等の不動産に関係する書類等があります。

3. 審問

審判では、家庭裁判所が、相続人に対して、遺産の範囲や評価、特別受益や寄与分についての意見を求め、これを確認したうえで、再度の合意を促すか、裁判所が独自に遺産の分け方を決めていくことになります。遺産分割調停において既に合意が成立している場合には、裁判所は、その合意に沿った分割方法を検討することになります。

審判の終了

遺産分割審判が終了するのは、主に、(1)審判が出された場合、(2)審判申立てが取下げられた場合です。

1. 審判が出された場合

審判には、(1)認容の審判と(2)却下の審判の二種類があります。

多くの場合は、(1)認容の審判であり、その内容は遺産分割条項を定めるものです。(2)却下の審判は、たとえば既に遺産分割協議が成立している場合等に、審判申立てが不適法であるとして出されることがあります。

 

なお、審判に対しては、不服申立てをすることができます(即時抗告といいます。)。ただし、即時抗告の期間は、審判の告知を受けた日の翌日から起算して2週間以内とされています。不服申立てがなされずに即時抗告の期間が経過した場合に、審判は確定し効力を生じます。

2. 審判申立てが取下げられた場合 

申立人は、審判の確定前であれば、いつでも審判の取下げをすることができます。ただし、相手方が本案について書面を提出し、又は期日において陳述した後は、申立人は、審判を取り下げるにあたり相手方の同意を得る必要があります。実務上は、取下書を裁判所に提出することとされています。

遺産分割審判のポイント

裁判分割(遺産分割調停・審判による分割)のポイント」をご参照ください。