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遺留分

遺留分減殺請求の要件と当事者

遺留分減殺請求権行使の要件

1. 遺留分が侵害されたこと

遺留分減殺請求権行使の要件として、遺留分が侵害されていることが必要です。遺留分の侵害とは、相続人が現実に受ける相続利益が算定された遺留分の額に満たない状態のことをいいます。なお、侵害は被相続人自身の行為によることが必要で、例えば、相続人が相続した財産を被相続人の生前の意思に基づいて第三者に贈与したため、残存額が遺留分に満たなくなったとしても、遺留分の侵害にはあたりません。

2. 遺留分を保全するのに必要な範囲であること

遺留分減殺の対象は、遺贈と遺留分算定の基礎財産に加えられた贈与です。遺留分減殺請求権は、その遺贈、贈与が遺留分を侵害した部分についてだけ効力を失わせ、その限度の財産を取り戻す権利です。したがって、ある目的物の全部が減殺の対象となる場合には、目的物全部が遺留分権利者に帰属することになりますが、目的物の一部が減殺の対象となる場合には、その目的物に関して相手方と遺留分権利者との共有関係が成立することになります。

遺留分減殺請求権を行使できる者

遺留分減殺請求が行えるのは、(1)遺留分権利者及び(2)その承継人です。承継人には、遺留分権利者の相続人、包括受遺者、相続分の譲受人など包括承継人に加え、特定承継人(例:遺留分減殺請求権を個別に譲り受けた者)も含まれます。

Q&A

遺留分権者の債権者が、遺留分権者の遺留分減殺請求権を代位行使は可能でしょうか?

できません。
遺留分減殺請求権は、遺留分減殺請求権者のみが行使できる性質(行使上の一身専属性)を有するため、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができないとされています(最一小判平成13年11月22日(民集55巻6号1033頁))。

遺留分減殺請求権行使の相手方

1. 原則

遺留分減殺請求権行使の相手方は、減殺されるべき処分行為によって直接的に利益を受けている受遺者、受贈者となるのが原則です。

2. 遺留分減殺請求権が行使される前に目的物が第三者に譲渡された場合

被相続人が生前に贈与をなし、その目的物が遺留分減殺請求権の行使前に受贈者から第三者に譲渡されたときには、遺留分権利者は、第三者に遺留分減殺を主張することはできず、受贈者に対して価額の弁償を請求できるにすぎません(民法1040条1項本文)。

ただし、第三者が譲渡当時、遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合には、第三者に対しても現物の返還を請求することができます。この場合、第三者は価額を返還して現物の返還を免れることができます(民法1040条1項但書)。

第1040条 減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない。ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。

2. 前項の規定は、受贈者が贈与の目的につき権利を設定した場合について準用する。

Q&A

譲渡がなされてしまった場合に弁償すべき価格はいくらになりますか?

目的物の譲渡時の評価額と解されています。 (最三小判平成10年3月10日民集52巻2号319頁)

3. 遺留分減殺請求権が行使された後に目的物が第三者に譲渡された場合

受贈者に対して価格弁償を請求できるのが原則です。遺留分権利者と第三者の優劣は対抗要件の有無で決せられると解されています。

4. 遺留分減殺請求権が行使される前に目的物上に抵当権などの権利が設定された場合

遺留分権利者は受贈者 (権利設定者) に対し、価額弁償を請求することができます(民法1040条2項)。 ただし、権利の設定を受けた第三者が遺留分権利者に損害を加えることを知っていた場合には、遺留分権利者は、その権利を消滅させることができ、受贈者から第三者の権利負担のない目的物の返還を受けることができます。

この場合、第三者は価額の弁償により権利の消滅を免れることができます 。

5. 遺留分減殺請求権が行使された後に目的物上に抵当権などの権利が設定された場合

受贈者に対して価額弁償を請求できるのが原則です。最高裁判所昭和35年7月19日判決の考え方からすれば、遺留分権利者と第三者の関係は、対抗要件の有無で決められるものと思われます。

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