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遺言書作成

遺言執行者について

遺言執行者の資格

1. 遺言執行者

遺言事項の実現のため、遺言に付随して何らかの行為を行うことを遺言執行と呼び、遺言執行を行う者を遺言執行者と呼びます。遺言執行者のうち、遺言によって指定された遺言執行者を指定遺言執行者、家庭裁判所によって選任された遺言執行者を選定遺言執行者と呼びます。

この遺言執行者には、一定の欠格事由があります。

2. 欠格事由

未成年者、破産者は遺言執行者となることができないとされています(民法1009条)。遺言執行は、身分上、財産上の行為を取り扱い、相応の判断力や、財産管理能力が要求されるため、このような欠格事由が設けられています。

なお、遺言の効力は遺言者の死亡時に発生するため、遺言執行者の欠格事由は、遺言者の死亡時を基準にして判断します。すなわち、遺言作成時には、未成年者を遺言執行者として指定した場合でも、遺言者の死亡時に、その者が成年に達していれば、欠格事由には該当しません。

一方、遺言作成時には、遺言執行者として指定された者が破産者でなかったものの、遺言者の死亡時に破産者となってしまった場合には、その者は欠格事由に該当することになります。

遺言執行者の報酬

1. 遺言執行者への報酬

遺言執行には、時間や労力、法律的知識を要するが多く、遺言執行者の職務の対価として何らかの報酬が支払われることが通常です。この報酬はどのように決定されるのかが問題となります。

2. 報酬の決定方法

遺言執行者に対する報酬は、 遺言に記載があれば、その内容に従います。遺言に記載がない場合には、相続人全員と遺言執行者との協議で決定することとなります。協議が整わないときは、相続財産の状況、 その他の事情(執行行為の複雑性や、執行行為に要した時間等)を考慮して家庭裁判所が決定します(民法1018条)。信託銀行や法律事務所に遺言執行を依頼する場合には、事前に報酬を確認しておくとよいでしょう。

遺言執行者の辞任や解任

1. 遺言執行者就任後の事情変更

ひとたび遺言執行者が指定ないし選任された場合でも、任務の継続が不可能になった場合や、不適切な行為があった場合などに、遺言執行者の辞任や解任が認められています。

2. 遺言執行者の辞任

遺言執行者は、正当な事由がある場合には、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができます。正当な事由とは、長期間の病気や遠隔地への引越し等、遺言執行が客観的に困難と認められる状態をいいます。

辞任を希望する遺言執行者は、相続開始地の家庭裁判所に対して辞任許可の審判を申し立てる必要があり、その中で正当な事由の有無が判断されます。辞任に制限が生じるのは、遺言執行者の任務の重要性に鑑み、一方的な辞任によって相続人に不足の損害を与えないためです。

3. 遺言執行者の解任

遺言執行者が任務を怠ったとき、その他正当な事由があるときは、利害関係人(相続人や受遺者等)が、遺言執行者の解任を家庭裁判所に請求することができます。

解任の事由は、遺言執行者の任務懈怠のほか、一部の相続人のみを有利に取り扱っている場合や、病気等により円滑な遺言執行が期待できないような場合も含まれます。解任を希望する利害関係人は、相続開始地の家庭裁判所に対して解任の審判を申し立てる必要があり、その中で解任事由の有無が判断されます。

4. 辞任、解任後の措置

引き続き遺言執行者が必要となる場合には、新たな遺言執行者の選任を家庭裁判所に対して請求することになります。

遺言者の死亡前に、遺言で指定した遺言執行者が死亡した場合

1. 遺言の効力発生時点

遺言の効力は、遺言者の死亡時に発生します。それゆえ、遺言によって遺言執行者の指定がされたものの、遺言者の死亡前に遺言執行者が死亡した場合には、その遺言条項の効力は失われます。

複数の遺言執行者が指定されている場合には、死亡者以外の者が遺言執行者となって遺言執行を行えばよいのですが、1人のみの指定であった場合、遺言執行者が存在しないという事態が生じます。その場合、どのような手当てをするべきかが問題となります。

2. 新たな遺言執行者の指定

遺言者が新たな遺言を作成して、遺言執行者の再指定や指定の委託を行います。遺言執行者の指定や指定の委託は遺言でのみなしうる行為ですから、遺言の要式を遵守する必要があります。

3. 家庭裁判所による遺言執行者の選定

遺言者の死後に、利害関係人(相続人、 受遺者等)が相続開始地の家庭裁判所に対して遺言執行者選任の申立を行います。 家庭裁判所が必要と認めた場合には、新たな遺言執行者が選任されます。

相続、遺言の専門家である弁護士を遺言執行者に

1. 遺言執行者とは

遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。遺言執行者がいる場合には、相続人は、遺言の対象となった相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるような行為は一切禁止されます。この規定に反した相続人の行為は無効です。

2. 遺言執行者の任務

遺言執行者は、就任後次のような事務処理を行います。

  1. 相続人・受遺者へ遺言執行者に就任した旨の通知を出す。
  2. 相続財産リスト(目録)を作成し、相続人・受遺者へ交付する。
  3. 受遺者に対して、遺贈を受けるかどうか確かめる。
  4. 不動産があるときは、相続登記の手続をする。
  5. 遺言に従って受遺者へ財産を引き渡す。
  6. 相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為をする。

3. 遺言執行者を選任する際の留意点

遺言執行者の任務は上記のように多岐にわたり、極めて大変です。相続人の一人を遺言執行者に指定することはもちろん可能ですが、相続人の一人が遺言執行者になると、遺言の内容に不満を持つ相続人との間で対立が生じ、円滑な執行ができず、また親族間の感情的対立が生じる可能性があります。

また、金融機関によっては、相続人が遺言執行者の場合、結局相続人全員の署名、実印による捺印を求められる場合があります。したがって、遺言の内容を、第三者の立場から忠実に、かつ公平に実行してくれる専門家の遺言執行者を指定しておくことが賢明です。当事務所は相続、遺言を専門に取り扱う弁護士事務所として多数の遺言書の作成を行った実績があり、また、多数の遺言執行者就任の実績もあります。

相続手続は極めて煩雑であり、また、少しでも取扱いを誤ると、親族間の相続紛争が発生してしまう危険性もあります。相続紛争を生じさせないよう遺言を作成するわけですから、遺言執行者についても、安心できる遺言に強い弁護士を選任することをお勧めします。

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