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遺産分割 寄与分

判例No. 1075

東京家庭裁判所 平成29年(家)52号、61号、62号 遺産分割申立事件 寄与分を求める処分申立事件

事件番号東京家庭裁判所決定/平成29年(家)52号、平成29年(家)61号、平成29年(家)62号
判決日付平成29年9月8日
判示事項被相続人の唯一の遺産が、訴外亡甲(被相続人の子)から贈与された土地のみである場合、甲は同土地を贈与したという特別の寄与をした者といえ、被相続人が贈与後に同土地の価値を維持又は増加させたともいえない場合、その寄与分は100パーセントとなるところ、訴外亡甲の相続人で、被相続人の代襲相続人でもある訴外亡甲の2名の子(相続分等分)の寄与分は各人に2分の1ずつ帰属するとして、両名による土地の共有取得を認めた事例。
遺言 確認訴訟自筆証書遺言公正証書遺言遺言の撤回

判例No. 1074

東京高等裁判所 平成29年(ネ)1060号 遺言無効確認請求、同反訴請求控訴事件

事件番号東京高等裁判所判決/平成29年(ネ)1060号
判決日付平成29年8月3日
判示事項被相続人は、平成22年10月20日、全財産を控訴人らに相続させる内容の公正証書による遺言(以下「本件公正証書」という。)をした後、平成23年9月8日、これまでの遺言をすべて取り消す旨の自筆証書による遺言(以下「本件自筆証書遺言」という。)を作成した。

被相続人の孫である被控訴人らのうち一名が、被相続人の子である控訴人ら及び自分以外の被控訴人に対し、本件公正証書遺言が本件自筆証書遺言により取り消されて無効であることの確認を求め、反訴として、控訴人らが、被控訴人らに対し、本件自筆証書遺言が無効であることの確認を求めた事案である。被控訴人は、被相続人は身の安全の確保のために本件公正証書遺言を作成したにすぎず、後日これを無効とするために、本件自筆証書遺言を作成したと主張した。一方、控訴人らは、被相続人は被控訴人らに事業を妨げられないようにするために本件公正証書遺言をしたのであり、本件自筆証書遺言については、作成時、被相続人には自書能力が無く、印影も、被相続人の実印ないし認印によるものではないとして、その無効を主張した。

これに対し、本判決は、本件公正証書遺言の成立について当事者間に争いが無いとした上、被控訴人の主張する、被相続人は身の安全の確保のために本件公正証書遺言を作成したにすぎないという主張は、証拠がなく憶測の域を出ないとして、本件公正証書遺言を有効とした。

また、本件自筆証書遺言については、本件自筆証書における被相続人の筆跡は被相続人自身の筆跡と同一であると判断した筆跡鑑定書は、性質上、証明力に限界があり、反対趣旨の鑑定書の存在も考慮すれば、鑑定書のみによって被相続人による自書であると判断するのは相当ではないとし、また、本件自筆証書遺言作成前後に関する控訴人らの供述は信用できないと述べた上、印影が被相続人の実印及び認印の印影と一致しないこと、真正に成立したものと認められない平成21年遺言書と文面及び体裁が似ていること、作成された時期に被相続人と被控訴人の間に株式売却代金返還の争いが生じていたこと等を認定し、本件自筆証書遺言が真正に成立したものと認めることはできないとした。
遺言 遺言能力認知症遺言の撤回

判例No. 1073

東京地方裁判所 平成27年(ワ)26976号 遺言無効確認等請求事件

事件番号東京地方裁判所判決/平成27年(ワ)26976号
判決日付平成28年12月7日
判示事項すでにある遺言を撤回する遺言に関して遺言者の遺言能力が争われた事案につき、診断書や要介護認定調査票の記載を基にすると、遺言の前後において、被相続人の判断能力に特段の問題はないこと、遺言の動機や経緯はそれが明確に表示されていない限り、事後に第三者がその真意を確定することは困難で、経緯が明らかでないことをもって遺言能力がないとはいえないこと、遺言は公正証書により作成されており、意思確認手続が踏まれていること等を考慮し、遺言能力を肯定した。
遺産分割 錯誤遺産分割協議の無効

判例No. 1072

東京地方裁判所 平成26年(ワ)2823号 遺産分割協議無効確認等請求事件

事件番号東京地方裁判所判決/平成26年(ワ)2823号
判決日付平成28年10月19日
判示事項A国の戸籍に記載されていた被相続人の相続に関し、相続人の一人が他の相続人に対し、A国民法に基づいて、遺産分割協議の通謀虚偽表示による無効を主張し、予備的に同協議の錯誤による取消(※A国民法に基づく)を主張した事案である。原告は、遺産分割協議の通謀虚偽表示無効の理由として、遺産分割協議に出席した税理士から、葬儀費用・税金等を直ちに支払うためには被相続人名義の預金口座を被告名義の口座に換える必要があると言われたことから、本件協議書の内容の合意をする意思がないにもかかわらず、通謀してそのような意思があるように合意したことを主張し、遺産分割協議の錯誤取消の理由として、(1)税理士の上記説示により、被相続人名義の預金口座を被告名義の口座に換える必要があるとの錯誤に陥ったこと、(2)遺産分割協議書に署名押印する前後に証人Bから「事後報告を完全にしてください」という発言があったため、後日、真実の遺産分割協議があるものと誤信したことを主張した。

これに対し、本判決は、証人Bの供述は、本件協議書に署名・押印がされた場面についての重要な点すら覚えておらず信用できないと述べた上、原告の供述等のみでは原告らの主張する事実を認定することはできないとした。また、仮に税理士から上記原告の主張するような発言がされたとしても、遺産分割協議書には、遺産分割方法が記載されており、原告らはそれに署名押印していること、原告は社会経験のある成人であること、相続人らが一同に会する場で、弁護士立会いの下、印鑑証明書を持参し、実印で押印していること等を認定し、原告が本件協議書の内容を理解せずに署名押印したとは認められないとして、原告の虚偽表示無効の主張を認めなかった。

また、錯誤取消については、上記の理由に加え、遺産分割協議の対象に不動産が含まれていることから、原告が、法要等の支払いのために分割協議をしなければならないと誤信することはないこと、遺産分割協議の前に読み上げられた被相続人の遺嘱には、被告に財産処分を任せるとの意向が記載されており、原告はその内容に同意していたと認められること等から、原告は錯誤に陥っておらず、仮に錯誤があったとしても過失があるとして、原告の錯誤取消の主張も認めなかった。
遺留分 代襲相続預貯金契約

判例No. 1071

東京高等裁判所 平成27年(ワ)第31689号 貯金払戻請求事件

事件番号東京高等裁判所/平成27年(ワ)第31689号
判決日付平成28年10月4日
判示事項被相続人が、養子の子ら(養子縁組前に生まれていたもの)に預貯金を遺贈する内容の遺言をしたところ、被相続人の子である原告が、養子の子らに対して遺留分減殺請求権を行使したうえ、ゆうちょ銀行に対し、戸籍謄本や遺言書等を提示して、貯金のうち原告の遺留分割合に相当する金額の払戻し及び遅延損害金の支払いを請求した事件。

ゆうちょ銀行は、
(1)被相続人の相続開始前に養子が死亡していたため、法解釈によっては養子の子らも被相続人の代襲相続人となり得ること、また、ゆうちょ銀行には特別受益等の事情は分からないため具体的な遺留分侵害額を知る由がないこと、さらに、本件においては供託することもできない事情があったことから、払戻しを行うことはできず、

(2)払戻しを拒んだとしても遅延損害金は発生しないうえ、

(3)仮に遅延損害金が発生するとしても、被相続人が貯金口座を開設し当時、ゆうちょ銀行は民営化の前であったため、遅延損害金は商事法定利率の6%ではなく、民事法定利率の5%であると主張して、原告の請求を拒んだ。

本判決は、
(1)民法第887条第2項の解釈から養子縁組前の生まれていた養子の子は養親の代襲相続人とならないことは明らかであり、ゆうちょ銀行も戸籍謄本等によって原告が被相続人の相続人であることを認識し得たこと、特別受益等の事情が分からないまま払戻しを行うことによって他の相続人との関係で後から紛争が生じる可能性や供託ができない場合がある可能性は否定できないものの、具体的な遺留分金額が明らかとならない限り払戻しを受けられないとすると遺留分減殺により取得した権利の行使が不当に妨げられる結果となるうえ、本件においては特別受益や寄与分など、原告の具体的な遺留分侵害額が抽象的な遺留分割合と異なることをうかがわせるような事情は存在しないことから、ゆうちょ銀行には払戻しに応じる義務があり、

(2)払戻しを行わなかったことは履行遅滞にあたり遅延損害金が発生するとし、さらに、

(3)郵政民営化法第174条1項の規定から、民営化前の貯金も民営化の際にゆうちょ銀行が受け入れた預金となることから遅延損害金の利率は商事法定利率の6%となる、と判断した。