ご相談受付

0120-956-251 受付時間:平日9:00~19:00

Q&A法律相談

第3 特別受益

特別受益の持戻し免除

私には、子供が3人おりますが、末の子に事業を継がせましたが、給料が少ない時代は生活費を出してやっていました。苦労をさせたので、出してやった生活費が相続上の特別受益にならないようにしてやりたいと思います。
どのような方法がありますか。

特別受益の持ち戻し免除という方法があります。
相続人のうち一部が特別受益を得ていた場合、被相続人の合理的意思を推測し、相続人間の公平をはかるため、その特別受益分を加算して具体的相続分の算定を行います。これを特別受益の持戻しといいます。

しかし、特別受益の持戻しは相続人間の公平を図ると同時に、 被相続人の合理的意思を推測した算定方法ですから、 被相続人が特別な理由により持戻しを希望しない意思を表明している場合には、持戻しを行わないことになります。これを特別受益の持戻しの免除といいます。持戻しの免除が行われれば、各人の具体的相続分の算定にあたって特別受益は考慮されません。これにより、特別受益分を持ち戻さない遺産額に各人の法定または指定の相続分を乗じたものが、各人の具体的相続分となります。

なお、2019年7月1日以降に、婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対して居住用建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について特別受益の持戻しの規定を適用しない旨の意思表示をしたものと推定されます(民法903条4項)。

特別受益の持戻し免除を行うには次の方式があります。


(1) 被相続人の生前の特別受益に関する持戻免除の意思表示

持戻免除の意思表示は、 特別の方式を必要としません。 また、生前行為によっても、 遺言行為によっても行うことが可能です。


(2) 遺贈に関する持戻免除の意思表示

遺贈が遺言によってなされる以上、 遺言によって行うこととなります。
但し、持ち戻し免除の意思表示をしても、他の相続人の遺留分を侵害することは出来ません。特別受益を受けた相続人の取得分により、遺留分を侵害された相続人は遺留分侵害額請求権により、自分の最低限の相続分を守ることが出来ます。