Q&A法律相談
第10 相続欠格・廃除
相続欠格
先日、父が亡くなり、親族が集まった際に、普段から素行の悪かった兄が、母がその場に持ち出してきた父の遺言を取り上げて燃やしてしまいました。自分の相続分が否定されているのではないかと勘ぐったようです。
このような兄に父の遺産を相続する資格があるのでしょうか。
法律上、相続権を有する相続人が、不正な行為により、相続を発生させようとしたり、自己の取り分を多くしようとした場合、そのような相続人に相続権を認めることは正義、公平の観点から許されません。相続欠格とは、そのような不正行為があった場合に相続権を剥奪するという制度です。
欠格事由が認められるのは、以下のような事情がある場合です。
- 故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せられた者。
- 被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者。
- 詐欺又は脅迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、またはこれを変更することを妨げた者。
- 詐欺または脅迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者。
- 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者と規定されています。
欠格事由に該当する行為をした者は、特段の手続を要せずに、相続権を剥奪されます。この点は申立てが必要となる廃除と異なります。又、相続欠格の効果は、欠格事由に該当する行為をした対象の被相続人との関係で生じるもので、およそ一切の相続権を剥奪するものではありません。
なお、欠格者の子が欠格者を代襲して相続人となることは認められています。