Q&A法律相談
第10 相続欠格・廃除
廃除の取消し
私の長男は、若い頃から乱暴者で、気に入らないことがあると、私共夫婦にも暴力を振るうことがあったので、家庭裁判所に廃除の申立をして認められました。
ところが、この長男も結婚して自分の子供が出来ると、親としての気持ちが分かるのか、以前と異なり、私共両親に無礼な態度を取ることが殆ど亡くなりました。
私共夫婦が貯めたお金も、私共亡き後に余りがあれば、長男夫婦や孫の役に立てて欲しいと思うようになりました。
一旦、決まった廃除について取り消しを行うことは出来ますか。
廃除とは、被相続人に対する虐待や侮辱等があった場合に、被相続人において、遺留分を有する推定相続人の相続権を否定したいと判断し、その者の相続権の剥奪を家庭裁判所に申立てるという制度です。
廃除そのものが、被相続人の意思を尊重するという制度ですから、被相続人が一度行った廃除を取消したいと考える場合には、いつでも、これを取消す自由が認められています。
廃除の効果は家庭裁判所の審判によって生じるため、これを取消すのも一定の手続が必要となります。
廃除の取消しに際しては、被相続人が家庭裁判所に取消しの請求をすることになります。
廃除の取消しは遺言によってすることもできますが、その場合は、遺言執行者が家庭裁判所に対して請求を起こします。
取消しの理由は不要で、例えば、推定相続人による虐待や侮辱が継続している場合でも、廃除の取消し請求をすることが可能です。廃除そのものが、あくまで被相続人の意思を尊重する制度だからです。
廃除取消しの審判が確定すると、廃除された推定相続人はその相続権を回復します。廃除取消しの審判が、被相続人の死後に下された場合でもその効果は遡及し、当該相続人は、相続発生当時から相続権を有していたものとして取り扱われます。