Q&A法律相談

第10 相続欠格・廃除

相続欠格と遺産の隠匿

3年程前に、父が亡くなり、父と同居していた長男夫婦からは、遺産は殆ど無いと聞いていました。
ところが、最近、父名義の数千万円の預金口座が幾つかあり、何れも解約されていることが分かりました。
長男夫婦が着服しているとしか考えられません。私は腹が立って仕方ありません。
このような卑劣な手段を使う長男については、相続欠格者として遺産相続から廃除することは出来ないでしょうか。

相続欠格についてですが、欠格事由に当たる場合としましては、

  1. 相続人が故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位に在る者を死亡するに至らせ、 又は至らせようとしたために、 刑に処せられた場合(民法891条1号)。
  2. 被相続人の殺害されたことを知って、 これを告発せず又は告訴しなかった場合(同条2項)
  3. 詐欺又は強迫によって、 被相続人が相続に関する遺言をし、 これを取り消し、 又はこれを変更することを妨げた場合 (同条3号)
  4. 詐欺又は強迫によって、 被相続人に相続に関する遺言をさせ、これを取り消させ、 又はこれを変更させた場合 (同条4号)
  5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、 変造し、 破棄し、 又は隠匿した場合 (同条5号)

とされております。

法定の欠格事由としては、遺言に関わるものはありますが、遺産の隠匿に関するものは在りません。
したがって、ご相談のケースでは「長男」を相続欠格者とすることは出来ません。
飽くまで、引出された預金を遺産として分割するように、協議、或いは家庭裁判所の調停や審判の手続を取るべきです。