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Q&A法律相談

第7 相続人

胎児の相続権

先日、夫と舅が事故で同時に亡くなりました。舅は大変な資産家ですが、私のお腹には赤ちゃんがいます。
舅が亡くなった時点で、赤ちゃんが既に生まれていれば、舅に対する相続権があったと思いますが、まだ、生まれていない場合には相続権は無いのでしょうか。

ご質問の問題は、胎児の相続権の有無という問題になります。胎児とは母体から出生前の子供のことをいいます。

民法上、権利能力(権利、義務の主体となることができる能力)は、自然人と法人に与えられます。ところが胎児は、相続発生時には生まれておらず、当然に自然人として取り扱うことはできません。しかし、胎児は殆どの場合に出産によって自然人となるものであり、出生前から潜在的な自然人であるといえます。
また、出生の前後で相続権の有無を区別すると、わずかの時間差で相続権を有する新生児と相続権を欠く胎児を区分することになり、公平を欠くことになりかねません。
そこで、民法は「胎児は、相続に関しては。すでに生まれたものとみなす(民法886条)」と規定して、胎児の相続権を明確にしています。

他方、胎児には代襲相続権も認められ、例えば、胎児の父親がその親(祖父母)より先に死亡しているときは、胎児は父を代襲することができ、祖父母の相続人となります。
なお、胎児が死体で生まれたときには、相続権は認められません。

したがって、ご質問のケースでは、胎児は祖父に対する相続権を有しています。
但し、胎児が相続人資格を有するといっても、現実の遺産分割協議等は、胎児の法定代理人(親権者等)によってなされることになります。