Q&A法律相談

第6 相続財産

名義借り売買と寄与分

私は自営業を営んでおります。
この度、父が亡くなりましたが、父の自宅の土地建物は、30年程前、私が事業に成功し、高額の収入があった時期に、私が資金を出したものです。ただ、これも親孝行と思い、父の名義にしていました。
私が全額購入資金を負担した居宅は私が相続すべきものと考えますが、弟ら他の相続人の反対を受けています。
私の考えは間違っているでしょうか。

1 本件土地建物があなたの固有財産であることが法的に認められるか否がまず問題となります。
この点については、(1) あなたが購入資金を拠出したこと及び、(2) 売主から本件土地建物を買受けた当事者があなたであったことをはっきりと証明しうる証拠書類が揃えばクリアーすることが可能です。
但し、この(1)(2)をともに証明することはそれほど容易ではありません(特に(2)の証明が困難と思われす)。

2 本件土地建物があなたの固有財産であると法的に認められる場合
まず、他の相続人に対して、本件土地建物の登記名義をあなたに変更することを求め、任意に所有権移転登記を得るのがベストです。
他の相続人が協力しない場合は、他の相続人に対して「本件土地建物があなたの所有であることを確認することを求める訴訟」(所有権確認訴訟)を提起し、その判決を得て、初めて所有権移転登記をすることができます。

3 本件土地建物があなたの固有財産であることが(証拠不十分で)法的に認められない場合は、
本件土地建物はお父様の遺産ということになってしまいます。但し、あなたが前記1で述べた(1) の「本件土地建物の購入資金を拠出こと」を証明することができれば、その拠出金相当額はあなたの「寄与分」(民法904条の2)と評価され、その分につきあなたの先取りが認められる余地があります。