Q&A法律相談

第2 遺留分

遺留分侵害額請求権の行使期間

母が亡くなってから、半年が経過しようとしています。
姉に対して遺留分侵害額請求権を行使したいと考えていますが、仕事が忙しくてなかなか時間が取れません。
遺留分侵害額請求権は、時効にかかったりしないのでしょうか。
遺留分侵害額請求の行使期間制限はありますか。

民法上の規定

遺留分侵害額請求権は、「遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年経過したときも同様とする。」と規定されています。
すなわち、遺留分権利者が、相続があったことと遺留分侵害があったことを知ったときから1年以内(但し、相続の開始から10年以内)に遺留分侵害額請求権を行使しなければ、この権利は時効にかかるということになります。
この1年の期間制限は消滅時効の規定、10年の期間制限は除斥期間の規定と解釈されています。
除斥期間というのは、消滅時効とは異なり、当事者による援用は不要で、かつ中断という制度がありません。 したがって遺留分侵害額請求権は、遅くとも相続開始後10年間の期間経過により当然に消滅することになります。
なお、遺留分権利者は、前記1年ないし10年の期間制限内に、遺留分侵害者に対して、「遺留分侵害額請求を行使する」という意思表示をすればよく、金銭の支払いまではその期間制限内に完了する必要はないことになります。