Q&A法律相談

第7 相続人

未成年後見人と利益相反

昨年、両親が相次いで亡くなりました。子供は、私と弟でしたが、弟も既に亡くなっており、その高校生の一人息子(私から見て甥)について、私は後見人となっています。
両親の相続については、私とその甥が相続人ですが、このままでは遺産の承継は出来ないといわれました。
どうすればいいでしょうか。

御両親に遺言が存在しない限り、原則として法定相続人2名で遺産分割を行うこととなります。
ところが、ご自身は、甥御様の未成年後見人ですので、ご自身の子としての相続人の立場と甥御様の代理人としての立場を兼ねて遺産分割を行うことになりますが、法律は、自己と遺産を分け合う者を代理して遺産分割をすることを、利益相反行為として、認めておりません(民法108条)。これは、代理する者が自己の利益を優先する可能性があり、代理される者が自己の利益を害される定型的危険のある関係であるためです。

そこで、甥御様の未成年後見監督人が選任されていない限り、家庭裁判所に対し、特別代理人の選任を請求しなければなりません(民法860条、826条1項)。特別代理人は、当該遺産分割についてのみ、甥御様に対する代理権を有します。
ご自身は、特別代理人となっていただける候補者を予め選んだ上、必要書類を準備し、家庭裁判所に対し、このような選任の申立てを行うこととなります。その後、家庭裁判所によって選任された特別代理人とともに、遺産分割協議を行います。