Q&A法律相談

第6 相続財産

保証債務の相続

先日、父が亡くなりましたが、叔父の会社の保証人になっており、債務が2,000万円残っていることが分かりました。
相続放棄せずに、父の遺産を相続すると、叔父の事業に基づく債務について、私達相続人も保証人としての支払義務が生じるでしょうか。相続人は、母、私、弟の3人です。

保証債務とは、本来の債務者(主債務者)が債務を弁済しない場合に、第三者(保証人)が債権者に対し、主債務と同一内容の債務を負担することです。保証人が保証債務を履行した後は、その分を主債務者に対して求償することになります。
被相続人が保証債務を負担していた場合、通常の債務と同様に、各相続人は自己の相続分に応じて債務を相続します。したがって、現状で支払義務が生じた場合は、「母」1,000万円、「私」500万円、「弟」500万円を負担することになります。これが連帯保証の場合は、上記同額で主債務者である会社と連帯して債務を負担します。

もっとも、次のように、特別な個人的信頼関係に基づいていたり、内容が不確定で相続人にとって過大な負担となる保証債務については相続が否定されます。

  1. 身元保証:身元保証とは、就労に際して発生する債務一切を保証するものです。相続発生時に現実化していた保証債務については相続の対象となりますが、身元保証債務そのものは相続されません。
  2. 信用保証:信用保証とは、主債務者が売買取引や銀行取引など継続的な取引の過程での発生が予定されている不特定且つ増減する債務を保証するものです。限度額および期間の定めのない信用保証は、相続されないと解釈されています。 但し、相続発生時に支払義務が現実化していた分の保証債務については、相続の対象となります。