Q&A法律相談
第6 相続財産
祭祀承継
田舎の両親共に亡くなってしまい、一般財産の分割は完了しましたが、お墓をどうするかが決まっていません。
お墓のような祭祀財産は一般財産の相続と異なると聞きましたが、どのような違いがありますか。
祭祀財産とは、 系譜、祭具、墳墓をいいます。系譜とは始祖から代々の家系を書いた家系図のことであり、 祭具とは位牌、仏壇のことであり、 墳墓とは墓石、墓地のことをいいます。
祭祀財産は、その特殊性から相続財産とは別個のものとして、独自の承継方法が規定されています。
即ち、祭祀財産は、一般の相続財産と異なり、相続人による共有という承継方法ではなく、「祖先の祭祀を主宰すべき者」への単独承継が規定されています。 「祖先の祭祀を主宰すべき者」の決定は、 第1に、被相続人が指定した者があれば、 その者が祖先の祭祀を主宰すべき者となり、 第2に、 指定がないときは慣習に従い、 第3に、 慣習が不明なときは家庭裁判所が定めることになります。
祭祀財産は、金銭的価値がある場合でも相続財産には含まれませんから、 相続分や遺留分を考慮するにあたって、その基礎財産とされることはありません。 例えば、限定承認をした場合でも、 祭祀財産を換価して弁済に当てる必要はありません。
お墓は祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します。被相続人による指定がなく、慣習も明らかでなければ、承継人を家庭裁判所に決めてもらうことができます。