Q&A法律相談

第5 遺言

遺言の撤回

甥に何かと世話になっていたため、「全ての財産は甥の〇〇に渡します。」という遺言書を書いていたのですが、甥に不義理をされてしまい、財産を渡したくなくなりました。最近は弟の妻がよく私の面倒も見てくれているので、私の財産は弟とその妻に渡したいと考えています。前にした遺言を白紙にするにはどうすればよいでしょうか。

前に作成された遺言書が手書きの(自筆)遺言である場合、それを破って捨ててしまうだけでも、その遺言を白紙にすることが可能です。もし公正証書遺言を作成していた場合、お手元にある遺言書はあくまで役所で保管されている遺言書の写しであるため、それを破いて捨てても無効にはなりません。そのような場合は、「以前私がした遺言は撤回します。」という記載のある遺言書を作る必要があります(公正証書の遺言を撤回する場合であっても、手書きの遺言書により撤回可能です。)

前の遺言を白紙にするだけではなく、新しい遺言を作成されたいという場合であれば、新しい遺言を作るだけでも前の遺言はその新しい遺言と矛盾する限度で効力を失います。そのため、ご相談の状況であれば、全財産を弟様とその奥様にお渡しするという遺言を作成するだけでも、前の遺言書は撤回されたものとして扱われます。もっとも、後日のトラブルを防ぐため、新しい遺言書に「私が〇〇年〇月〇日にした遺言を撤回し、新たに次の通り遺言します。」と書いておくほうが適切です。