解決例
第1 遺産分割案で当事者間にはなはだしい対立のあった事例
事例7 特定の不動産の取得を譲れなかったケース
相続関係
父が逝去、相続人は相談者(三男)と相手方(長男、二男)。
財産の内容
不動産
1,200万円
金融資産
2,000万円
相談内容
私は、父の生前、父から、「この不動産は先祖代々継ぐ大切なものだからお前に託す。どうか大事に活用してくれ。」と20年以上も前から言われていました。が、その旨の遺言書はありませんでした。
私にはその不動産でこんな活用をしたいという構想はありませんでしたが、とにかくこの不動産は他の兄弟には譲れない、なんとしてでもこの不動産は取得しなければという強い気持ちがありました。
しかし、相手方はこれに猛反発し、どうしても取得したいのであれば、代償金を支払えと譲りません。
私は手持ち資金に乏しく、代償金の支払いは困難でした。
結果
当方は、周辺の事実から、父がこの不動産を相談者に引き継いでもらう強い意向があったことを説得的に主張し、父の遺志を尊重すべく、この不動産は換価売却してはならず、どうしても相談者が引き継ぐべきものであることを入念に説得しました。
結果として、
(1)相談者が全ての不動産を取得する。
(2)金融資産は相手方が取得する。
という調停が成立し、法定相続分以上の不動産を代償金なしで取得することができました。