相続問題の専門知識

相続税

動産の評価

7. 動産の評価はどのように行いますか

民法第86条第2項においては、不動産以外の物はすべて動産とする旨の定めがなされていますが、相続税の取扱いにおいては、動産として財産的価値のあるものについて評価が行われることなります。

相続税の取扱いにおいて、動産は次の(1)~(5)に区分されています。 その評価は、それぞれ下記に掲げる通りに行われます。

(1) 一般動産

一般動産については、家庭用財産(例えば家具・車両)や事業用財産(例えば器具備品や機械装置)など様々なものがありますが、原則として売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。 ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない一般動産については、その一般動産と同種及び同規格の新品の相続発生時における小売価額より、その一般動産の製造の時から相続発生時までの期間に応ずる償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって、評価します。

なお、償却費の額又は減価の額は、耐用年数省令に規定する耐用年数に基づき定率法によって計算した金額とします。

(2) たな卸商品等

たな卸商品等については、原則として、次の1~3の区分に基づき、それぞれに掲げる通りに評価します。

1. 商品、製品及び生産品

商品、製品及び生産品については、次のイより、ロ~ニの合計額を控除した金額によって評価します。

  1. 相続発生時における販売価額
  2. その商品の価額に含まれる適正利潤の額
  3. 相続発生後販売までに負担すると認められる経費の額
  4. その商品につき納付すべき消費税及び地方消費税の額

2. 原材料

原材料については、次のイとロの合計額によって評価します。

  1. 相続発生時においてその原材料を購入する場合の仕入価額
  2. その原材料の引取り等に要する運賃その他の経費の額

3. 半製品及び仕掛品

半製品及び仕掛品については、次のイ~ハの合計額によって評価します。

  1. 相続発生時においてその半製品又は仕掛品の原材料を購入する場合の仕入価額
  2. その原材料の引取り等に要する運賃の額
  3. 加工費その他の経費の額

(3) 牛馬等

牛馬等とは、牛・馬・豚・山羊・綿羊等の家畜、鶏・あひる等の家きん、鯉・鰻・ます等の養魚等をいいます。 牛馬等については、次の1~2の区分に基づき、それぞれに掲げる通りに評価します。

1. 牛馬等の販売業者が販売目的で所有していたもの

先述の2たな卸商品等と同様に評価します。

2. 上記1以外のもの

売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。

(4) 書画骨とう品

書画骨とう品については、次の1~2の区分に基づき、それぞれに掲げる通りに評価します。

1. 書画骨とう品の販売業者が販売目的で所有していたもの

先述の2たな卸商品等と同様に評価します。

2. 上記1以外のもの

売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。

(5) 船舶

船舶については、原則として売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。 ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない船舶については、その船舶と同種同型の船舶を相続発生時において新造する場合の価額より、その船舶の建造の時から相続発生時までの期間に応ずる償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって、評価します。

なお、償却費の額又は減価の額は、耐用年数省令に規定する耐用年数に基づき定率法によって計算した金額とします。