相続問題の専門知識

相続税

小規模宅地等の課税価格計算の特例適用を受けるための必要手続

7. 小規模宅地等の課税価格の計算の特例の適用を受けるには、どのような手続が必要ですか

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けるためには、主として下記(1)~(2)の手続が必要です。

(1) 遺産分割協議を成立させ、特例対象宅地等の取得者を決めること。

この特例は、相続税の申告書の提出期限(以下「申告期限」という。)までに共同相続人又は包括受遺者によって分割されていない特例対象宅地等については、適用しないこととされています。 したがって、この特例の適用を受けるためには、大前提として遺産分割協議を成立させ、相続又は遺贈により特例対象宅地等の取得者を決める必要があります。 なお、申告期限までに分割されていない特例対象宅地等が申告期限から3年以内(※1)に分割された場合(※2)には、その分割された特例対象宅地等については、この特例の適用を受けることができます(※3)。

※1. 申告期限から3年以内にその特例対象宅地等が分割されなかったことにつきやむを得ない事情(例えば、相続に関して係争中であること)がある場合において、納税地の所轄税務署長に申請し承認を受けたときは、その特例対象宅地等の分割ができることとなった日の翌日から4ヶ月以内。

※2. その相続又は遺贈により財産を取得した者が特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けている場合を除く。

※3. 申告期限後にこの特例の適用を受けるためには、申告期限までに、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して相続税の申告書を納税地の所轄税務署長へ提出しておき、一定の期限内に更正の請求手続をする必要があります。

(2) 相続税の申告書に一定事項を記載し、明細書を添付すること。

この特例は、この特例を受けようとする者の相続税の申告書に、この特例の適用を受けようとする旨を記載し、この特例による計算に関する明細書その他一定の書類の添付がある場合に限り、適用することとされています。 申告書の記載漏れや明細書・各種必要書類の添付漏れによってこの特例の適用が受けられなくなってしまうこともあるため、注意が必要です。

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弁護士法人朝日中央総合法律事務所
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