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相続問題の専門知識

相続人調査・財産調査

法定相続分

これまで、遺言書がない場合の法定相続人の優先順位について説明をしてきましたが、民法では、優先順位に加えて、遺言書がない場合に遺産分割の内容を相続人間の話し合いで決めたり、相続人間の話し合いで決めることができない場合に家庭裁判所の調停や審判で分割内容を決める際に「基準」となる配分割合が定められております。 この遺産分割協議遺産分割調停・審判において「基準」となる相続財産の配分割合のことを「法定相続分」といいますが、「法定相続分」は、あくまで「基準」とすべき割合に過ぎず、実際の配分割合については、相続人全員の協議によって自由に変更することができます。 民法においても、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」と定められており(民法第906条)、相続人間の個別の事情に応じて、適切に相続財産の配分を決めることが求められております。

以下では、被相続人が遺言書を作成していなかった場合における相続財産の配分の基準となるべき「法定相続分」について、ケース毎に説明をしていきます。

1. 相続分の割合(法定相続分)

相続分の割合(法定相続分)のパターン

パターン(1)
配偶者と子が相続人となる場合

配偶者の相続分と子の相続分は、それぞれ2分の1となります(民法第900条第1号)。なお、子が数人いる場合は、各人の相続分は人数に応じて均等に配分されることになります。

パターン(2)
配偶者と直系尊属が相続人となる場合

配偶者の相続分は3分の2で、直系尊属の相続分は3分の1となります(民法第900条第2号)。なお、直系尊属が数人いる場合は、各人の相続分は人数に応じて均等に配分されることになります(民法第900条第4号)。

パターン(3)
配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合

配偶者の相続分は4分の3で、兄弟姉妹の相続分は4分の1となります(民法第900条第3号)。なお、兄弟姉妹が数人いる場合は、原則として、各人の相続分は人数に応じて均等に配分されることになりますが、父母の一方だけを同じくする者は父母の双方を同じくする者の相続分の2分の1となります(民法第900条第4号)。

パターン(4)
代襲相続人の相続分

代襲相続人(又は再代襲相続人)がいる場合、代襲相続人の相続分は、本来代襲相続人の父母等が受ける予定であった相続分と同様です(民法第901条、同法第900条)。なお、代襲相続人が数人いる場合は、各人の相続分は人数に応じて均等に配分されることになります。

Q1. 法定相続分どおりに簡単には分割できない場合(例えば、不動産)はどうするのでしょうか?

上記では、法定相続分として、「2分の1」「3分の2」などの抽象的な数字を記載しましたが、現実問題としては、簡単に規定どおり分割することができない財産もたくさんあります。 特に、代表的な相続財産である不動産については、預貯金や現金と異なり、複数の相続人で簡単に分割することはできません。 そのため、このような分けにくい相続財産を巡る相続人間のトラブルは年々増加しており、家庭裁判所の調停や審判では解決できず、高等裁判所などで争うケースも珍しくありません。

このようなトラブルを避けるためにも、あらかじめ被相続人が生前に法的効力を持つ遺言書を残しておくことが一番の対策となります。 遺言書は、個別のご家族の状況に応じて適切な内容にする必要がありますので、作成を検討されている方は、弁護士等の専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。