解決例
第1 遺産分割案で当事者間にはなはだしい対立のあった事例
事例27 全ての遺産と債務の承継にこだわったケース
相続関係
母が逝去、相続人は相談者(長男)と相手方(二男)、長男の子で孫養子の3名。
財産の内容
不動産
1億2,000万円
賃貸物件
抵当付債務
8,500万円
相談内容
父の遺産分割の時には私が全ての遺産を取得しました。すると相手方はそれにつけ込んできたのか、次の母の相続時には「自分が1反の土地を相続する」という合意がなされたなどと主張して、「1反の土地もしくは3,000万円を自分が取得する」などと言って話が進みませんでした。
どうやら不動産の取得を希望しているようでしたが、不動産には多額の債務が付着しており、その内のほとんどに私が連帯保証をしていました。
そのため、不動産を相手方と共有としたり債務を分割する事は権利関係を錯綜させることになり、絶対に避けなければならない問題でした。
結果
相手方の主張は、土地の取得にこだわっているかと思えば代償金での解決に望む方向に変更したりするなど、一貫しないものでした。
他方で、当方は、全ての遺産と債務を当方が引き継ぐべき合理性を丹念に主張しました。
結果として、
(1)全ての遺産と相続債務を当方の負担とする。
(2)相手方に対して、代償金2,000万円(相続後の賃料約900万円のうち相手方の相続分約300万円を含む)を支払う。
(3)代償金のうち1,000万円を一時金として、残り1,000万円を毎年4分割で支払う。
という調停が成立しました。