遺産相続レポート

未成年者が相続人となる場合の注意点

2018.08.20

未成年者が相続人となる場合の注意点|遺産相続の専門的な情報

今回は、未成年が相続人となる場合についてお話します。 一般的に相続というと、被相続人が高齢のため、相続人も一定程度の年齢になっているという印象があると思います。しかし、未成年が相続人となるケースがあり、問題となることもあるため、ご紹介いたします。

はじめに

 

未成年者が相続人となるケースとしては、被相続人には長女と次女がいるが、長女は被相続人より先に死亡しており、長女には夫と夫の間に未成年の子2名(孫)がいるケースが考えられます。

このケースにおいて相続人は、被相続人の次女と孫2名であり、長女の夫は相続人ではありません。 このケースのように相続人となるべき者が被相続人より先に死亡していた場合は、その子が相続人となります(これを「代襲相続」といいます。)。

遺産分割協議について

さて、このケースで、遺産分割協議はどのように行われるのでしょうか、孫2名は未成年であるため、親である長女の夫が孫2名を代理すれば、問題ないのでしょうか。 この点については、長女の夫が孫2名を代理して分割協議を行うことはできません。なぜかというと、遺産分割は限られたパイを分け合うため、孫の一方の取得分を増やせば、もう一方の子の取得分が減ることから、孫同士の利益が相反する関係にあり、一人の親が双方を代理することができないからです(民法826条2項)。

この場合は次女の夫が孫の一人を代理し、もう一人については、裁判所で孫の代わりに分割協議を行う代理人(特別代理人)を選任する必要があります。 特別代理人選任の手続には一定程度時間がかかるため、スムーズに遺産分割が進まない可能性があります。

終わりに

このような事態を防ぐためには、被相続人が子1名、孫2名に法定相続分通りに相続させるという遺言を作成しておけば、分割協議をする必要がないため、相続手続を迅速に行うことができます。

 

従って、子供が自分より早くに亡くなってしまい、未成年者が相続人となる可能性がある場合には、遺言書を作成することにより、ご自身の財産が迅速に相続人に渡るような手立てを打っておかれることをおすすめいたします。

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この記事の執筆
弁護士法人朝日中央総合法律事務所
弁護士法人朝日中央綜合法律事務所は遺産分割紛争、遺留分紛争、遺言無効紛争などの相続紛争の解決実績は2018年以降、1,695件(内訳:遺産分割紛争635件、遺留分紛争89件、その他遺産相続紛争971件)にのぼり、多くの依頼者から信頼を獲得しています。

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