相続問題の専門知識
遺言書作成
遺言を作成するための事前準備について
財産の洗い出し
遺言を作成する前提として、自身の財産がどのようなもので、いくらぐらいのものであるかを把握する必要があります。そのために必要な書類を以下では紹介します。
1. 固定資産
- 固定資産税納税通知書に添付されている課税明細書
- (課税明細書が見当たらない場合)都税事務所又は市役所で発行される固定資産課税台帳兼名寄帳
- 登記事項証明書
- 権利証
2. 金融資産
- 記帳した通帳
- 定期預金証書
- 出資金証書
- 証券会社等の金融機関から定期的に届く残高報告書
3. 自社株関係
- 法人税確定申告書、決算書
4. その他財産
- ゴルフ会員権の会員証、査定書
- 書画骨董品、貴金属の査定書、購入時の領収書
- 自動車の査定書
5. 保険関係
- 保険証券
- 保険会社から定期的に届く契約内容のご案内
6. 債務
- 金銭消費貸借契約書
- 返済計画書
財産目録の作成
「財産の洗い出し」で集めた書類から、不動産、金融資産、保険契約、自社株、その他財産、債務を洗い出し、それらの評価額を記載した財産目録を作成します。
不動産については、課税明細書や名寄帳に記載された固定資産税評価額が一つの基準となります(遺産分割や遺留分で問題となる時価や相続税申告時に必要となる相続税評価額とは異なります)。
金融資産については、変動が大きいため、把握するのは概算額で構いません。
生命保険については、保険金がいくらか、受取人が誰かを把握する必要があります。また、終身保険か、定期保険かどうかなどを確認し、必要に応じて見直すのもいいでしょう。受取人が決まっている生命保険金は、受取人の固有財産であり、遺言とは別に受取人が請求することができるものですが、遺言の内容を検討するにあたって、取得額のバランスを見るため等のために把握する必要があります。
自社株の評価については、決算書の純資産額が一応の目安になりますが、会社の経理士がいる場合には、株価の試算をしてもらうのが確実です。また、会社のオーナーであれば、自分の会社に多額の貸付金を有している場合がありますが、この貸付金も相続の対象となるので、注意が必要です。
生前贈与の内容、金額
生前贈与をしている場合、遺言を作成するにあたって、そのバランスを図るために、生前贈与の内容や金額について整理、記録しておくことも必要になります。贈与した方の氏名、贈与日時、贈与した財産の種類、贈与した財産の金額などを「財産目録の作成」の内容に示すとおり財産目録に追加しましょう。
遺言内容の検討
「財産目録の作成」の内容に示すとおり財産目録を作成した後、どの財産を誰にどのぐらい渡すかを検討します。不動産については、共有にするのは望ましくなくできるだけ単独所有となるようにするのが一般的です。また、金融資産については、金融機関で開設した通帳毎に指定する方もいらっしゃいますが、通帳の管理が大変なため、「遺言者の預貯金は、2分の1を妻に、4分の1ずつ長女、長男に相続させる」というように、割合で指定するのが一般的です。
不動産賃貸業や会社の経営を行っている方は、後継者に当該不動産や自社株を承継させることになろうかと思いますが、特定の相続人に財産の大部分を承継させる場合、他の相続人の遺留分を侵害するかどうか検討する必要があります。また、評価の高い不動産を渡す場合など、財産を受け取った方が相続税を支払えるかどうかも検討する必要があります。
遺言に強い専門家に依頼する
遺言の内容を検討するには、御自身のお気持ちが一番大事ですが、さらに、遺留分の問題、相続税の問題など検討する課題が専門的な分野に及ぶ場合があります。
安易に作成した遺言書で、結局遺留分をめぐって裁判沙汰になったり、財産を多く上げた人が相続税の納税で困ったりしないように、遺言の内容の検討にあたっては弁護士などの専門家に相談するのが安心です。
当事務所所属の弁護士は、遺言・相続の専門家として、多数の遺言書作成の実績があることから、遺言の内容を決定するために検討すべき遺留分の問題や相続税の問題に精通しております。さらに当事務所が所属するグループには税理士法人も所属しており、相続税の試算や自社株評価等、より高度な遺言書作成のためのサポートも充実しております。
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