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審判による遺産分割事例

相続紛争の予防と解決マニュアル

第3

相続紛争の事例研究

集合写真
4

審判による遺産分割事例

(1)

事案の概要

(イ)
A の相続人は、 XYZ の3名でした。
X 及び Y は Z に対し、 遺産分割協議の申出をしましたが、 Z はこれに一向に応じようとしないばかりか、 遺産の一部を処分しようとしていました。
(ロ)
そこで、 X 及び Y は、家庭裁判所に A の遺産分割調停の申立てをしました。
その後、 調査官による遺産の調査がなされ、 その一環として X 及び Y に対する審 問もなされました。
しかし、 家庭裁判所は、 Z と連絡が取れないとの理由で、 調停期日を一度も指定 できませんでした。
(ハ)
家庭裁判所は、 Z と一向に連絡がとれないことから、 X 及び Y に対し、 Z の不在者 財産管理人選任の申立てをするよう打診しました。
(ニ)
X 及び Y は、 上記打診を受けて、 不在者財産管理人選任の申立てをしましたが、 家庭裁判所は、 その後の調査で Z の所在が判明したとして、 上記申立ての取下げを 命じ、 調停手続が再開されました。
(ホ)
しかし、 Z は家庭裁判所の呼出に一切応じないため、 調停手続が進められない状 況が続いていました。
そこで、 X 及び Y は、 調停手続を不成立とし、 審判手続に移行することを申立て ました。
(2)

解決

家庭裁判所は、 X 及び Y の申立てをほぼ全面的に認めた内容の審判をしました。
(3)

コメント

(イ)
遺産分割について共同相続人間で協議が調わないときや、 本件のように協議をすることができないときは、 各共同相続人は遺産分割を家庭裁判所に請求することができます。
(ロ)
本件は、 共同相続人間で協議が調わないという典型的な理由によって審判事件となったのではなく、 相手方が協議にも調停にも一切応じないため、 申立人や家庭裁 判所が振り回され、 最終的に審判事件とされたものです。
このように、 各相続人は、 他の共同相続人が分割協議に一切応じない場合でも、 最終的には審判により遺産分割をすることが保障されています。