解決例

第1 遺産分割案で当事者間にはなはだしい対立のあった事例

事例1 突然、見ず知らずの者に長年住み慣れた自宅から出て行けと言われたケース

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相続関係

夫が逝去、相続人は相談者(妻)と相手方(先妻との子)。

財産の内容

自宅兼アパート

3,500万円

金融資産

500万円

相談内容

主人が亡くなってすぐに相手方から遺産分割の提案がありました。
私は、「晩年に主人と暮らした自宅を終の棲家にさせて下さい。」と強く訴え出ましたが、相手方はどうしてもアパートが欲しいと譲りませんでした。
どうやら手に入れてからすぐに不動産業者に売る算段がついていたようで、分割協議が整い次第、すぐに出て行ってもらうという事も強く言われました。
アパートを取得したいのであれば、今後の私のアパートの使用料も含めてその賃料収入を全額死ぬまで支払えという条件を出してきましたが、私自身お金はほとんどなく、相手方との折合いは全くつかず途方に暮れていました。

結果

当方は、調停において、相談者と御主人との晩年の様子を通じて、相談者がいかに御主人と共にこの自宅で幸せに過ごしてきたか、また、相談者の今後の生活不安を強調して協議の主導権を握って行きました。 
結果として、
(1)自宅は2分の1ずつの共有とする。
(2)相談者の生前は分割請求を禁じる。
(3)相続開始後遺産分割までのアパートの賃料収入は相談者が取得する。
(4)遺産分割後のアパートの賃料収入は折半で取得する。
(5)相談者は家賃を支払う必要はない。
(6)金融資産は折半で取得する。
という調停が成立しました。