遺産相続レポート

死後のSNSの取扱い

2018.07.30

死後のSNSの取扱い|遺産相続の専門的な情報

昨年は「インスタ映え」という言葉が流行語大賞となったように,インスタグラムやFacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)は,現在の我々の生活に欠かすことのできないものとなってきております。

1.亡くなったのSNSのアカウントID

では,我々が亡くなった後は,我々の有するSNSのアカウントIDはどうなってしまうのでしょうか。

死後のアカウントが相続の対象となりうるかは,各SNSの利用規約の定めによって異なります。ただし,一般的には,アカウントの相続を禁止する旨が定められていることがほとんどであり,そのような場合,SNSのアカウントは相続の対象とはならないと考えられます。

とはいえ,アカウント所有者の死亡後もアカウントをそのまま放置しておくと悪用される可能性もあるので,何らかの手続きをしておきたい,と考える方もいるでしょう。そのような場合には,どのような方法があるのでしょうか。

2.代表的なSNSのアカウント所有者の死亡後に行うことのできる手続き

代表的なSNSについて,アカウント所有者の死亡後に行うことのできる手続きは以下のとおりです。

まず,インスタグラムやFacebookでは,アカウント自体は残しておきたいという場合,「追悼アカウント」として死後も引き続き第三者が閲覧可能な状態でアカウントを維持することが可能です。「追悼アカウント」を申請する場合,申請者の制限は特にないようですが,死亡を証明できる書類等の添付が必要になる場合もあるようです(Facebookでは,死亡を証明できる書類等の添付は任意です。)。

他方,アカウントそのものを削除したいという場合,インスタグラムやFacebook,Twitterでは,亡くなった方の近親者等の申請によりアカウントの削除を行うことが可能です。アカウントの削除の申請にあたっては,いずれのSNSにおいても,削除申請者の方の身分証明書等が必要となるようです。

3.生前に可能な手続き

このように,第三者による事後的な方法も一応あるようですが,手続きが煩雑であることは否めず,またSNSのアカウント自体が見つからなければ手続きをしようがありません。

そのため,例えばFacebookでは,アカウント所有者自身が生前に追悼アカウント管理人を設定しておくなどの方法もあるようです。 それ以外の方法としては,生前に手続きを任せたい方との間で死後事務委任契約を締結しておく方法や,遺言書の中で死後のSNSアカウントの取扱いを誰にどのように行ってほしいかを記載しておく方法などがあります。そのようにしておけば,自分のSNSアカウントについて,信頼のおける人に適切に処理をしてもらうことが可能となります。

4.まとめ

SNSは,友人とのつながりや写真等の思い出を共有する手段として,現代の我々の生活において重要なツールとなっております。不動産や金融資産などの財産関係だけでなくSNSアカウントについても,遺言書等で死後の扱いを決めておくと良いでしょう。

(※なお,各SNSの具体的な手続きにつきましては,直接当該SNSのホームページ等をご参照ください。)

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この記事の執筆
弁護士法人朝日中央総合法律事務所
弁護士法人朝日中央綜合法律事務所は遺産分割紛争、遺留分紛争、遺言無効紛争などの相続紛争の解決実績は2018年以降、1,695件(内訳:遺産分割紛争635件、遺留分紛争89件、その他遺産相続紛争971件)にのぼり、多くの依頼者から信頼を獲得しています。

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