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相続税軽減達成のための原則

相続税軽減マニュアル

第1 相続税軽減のすすめ方

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2 相続税軽減達成のための原則

相続税軽減は、現在から相続税納税後までの期間を予想し、相続税軽減の基本方針を立て、短期、中期、長期の具体的実行計画を作成し、さらに諸状況の変化に合わせ、修正を加えながら進めていくことになります。
このような総合的で計画的な相続税軽減を成功するための原則としては、

・早期の着手
・事業の後継者や遺産分割についての明確な方針
・計画の策定と実行。 実行後の達成度の確認

があります。

(1)早期の着手

相続税軽減のためには、財産の組み替えを行いますが、組み替えの主要目的は、相続税額の減少と収益性の向上です。
例えば、低収益の貸地・貸家建付地が相続財産のほとんどを占めている資産家の場合、その状況を10年続けても20年続けても、相続税納税額に見合う金融資産を蓄積することは不可能です。
このような資産家の場合、低収益の貸地・貸家建付地の売却又は明渡しなどで、資金や有効活用可能な土地を作り、新規不動産の購入または所有地への建築などを実行しますと、相続税が軽減し、しかも、収益が飛躍的に向上します。
このような財産状態を作り上げると、作り上げてからの期間が長ければ長いほど、金融資産が蓄積され、金融資産と相続税納税額とのバランスが好転してきます。
さらに、向上した収益を被相続人の財産として蓄積するかわりに、可能な範囲で不動産管理会社等に収入を発生させ、相続人に給料等として支払いますと、生前に財産が移転し、相続人が納税資金を蓄積することも可能となります。この場合も、年数をかけて行ったほうが、累進課税である所得税等を考慮しますと、断然有利になります。
また、贈与による財産移転を行う場合、単年で多額の贈与を行うと、高率の贈与税がかかってきますので、長い期間にわたって、低額の贈与を続けてゆくほうが有利となります。
相続税法、通達等の改正の観点からも早期の着手は重要です。 相続税法は、時代とともに変わっていきますので、現在有効で合法的な対策が、いつまでもそのまま有効であるとは限りません。

(2)事業の後継者や遺産分割についての明確な方針

資産家の財産の構成はさまざまですが、それぞれの財産の価値も、収益性も違うため、遺産分割の際に各相続人の希望が折り合わず、争いになるケースも少なくありません。
また、被相続人の事業の後継者を決めておかないと、相続人間の争いなどの障害が生じて、スムーズな事業承継ができなくなる場合もあります。 その場合は、事業自体が分裂や倒産の危機に直面することになりますので、被相続人は、予め事業の後継者を定め、後継者がスムーズに事業承継するためのあらゆる措置を採っておかねばなりません。
そこで、相続税軽減を行う場合は、事前に対策実行後の明確な財産の姿を想定し、相続人の誰にどの財産を渡して、どのような形で納税を完了するか、どのように事業を承継するかの方針を決め、その方針に従った対策案を策定し、実行することが重要です。

(3)計画の策定と実行。 実行後の達成度の確認

相続税軽減は、計画的にさまざまな手法を最適な時期に最適な規模で実行することが重要です。 そのためには

(イ)基本計画の策定
(ロ)実行計画の策定
   内訳:短期計画
      中期計画
      長期計画
(ハ)実行手順書の策定

などを作成し、実行していくこととなります。
これらの諸計画書、実行手順書は、資産家それぞれの個別事情を「現状分析」で厳密に分析し、相続発生時点での姿を見据えた上で採り得る手法を、現在から将来にわたって時系列で配置したものとなります。
また、実行の各段階において、その効果の検証を行い、達成度を確認しながら次の段階に進んだり、計画に修正等を加える場合もあります。 これらの諸計画の策定実行は、これにかかわる法律税務の高度の専門知識を必要とします。 したがって、その方面に熟達した専門家の意見を徴してすすめていくことが必要となります。