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生命保険

相続税軽減マニュアル

第3

相続財産別の相続税の軽減方法

集合写真
4

生命保険

(1)

保険料の贈与

(イ)
対策の内容
生命保険を活用した相続税の軽減と納税対策として、保険料を贈与する方法があります。 特に子に保険料を支払う経済力がない場合に使われる方法で、親が子に保険料を贈与して、子が生命保険契約の契約者となります。
(ロ)
留意点
保険料の贈与で注意しなければならないのは、保険料贈与の否認を受けないため に保険料贈与の証拠を残しておくことです。
そのためには、少なくとも、
(a)
贈与契約書を作成します。
親子間の贈与であっても、契約書を作成し、公証人役場で確定日付印を押印し、保管しておきます。
(b)
贈与税の申告を行います。
年間110万円 (基礎控除額) 以下の贈与なら、申告は必要ありませんが、110 万円を超える贈与をし、贈与税の申告をして納税を行い贈与の証拠を残すことも 有効です。
(c)
贈与は銀行等の口座を通し、子の名義で保険料を支払います。
贈与する保険料は親が子名義の口座に振込み、子名義の口座から保険料を支払うことで、振込の事実を明確にしておきます。
(2)

個人年金

(イ)
対策の内容
生前に個人年金契約に入ります。 そして、被相続人が年金受給中に相続が発生した場合において、その後の年金受給権が継続しているときは、この年金受給権の評 価については、定期金に関する権利として、次の場合に応じて評価減がされます。
(有期の定期金〈年金〉の場合) その残存期間に応じ、その残存期間に受けるべき給付金額の総額に、次に掲げる割合を乗じた金額とします。
(ロ)
具体例

年金受給後4年経過後に相続が発生した場合の評価額

残り 3,300 万円{300 万円×(15 年-4年)}の年金受給権が 1,650 万円の評価に なります。
(終身の定期金の場合)
その目的とされた者の当該契約に関する権利の取得の時における年齢に応じ、1年間に受けるべき金額に、次の倍数を乗じたもの。
(ハ)
具体例

相続が発生し、長男が年金受給権を相続した場合の相続税評価額
700 万円×4倍=2,800 万円
長男は生涯年金を受取る権利を 2,800 万円の評価で相続したことになります。
(3)

連生終身保険

(イ)
対策の内容
連生終身保険は、被保険者は2人となり、それぞれ 「第1被保険者」 と 「第2被 保険者」 といいます。
この保険は、商品の内容は保険会社によって異なりますが、一般的な連生終身保 険としては、被保険者が 2 人とも死亡したときに、初めて保険金が支払われます。 また、第 1 被保険者が死亡した後は、保険料の支払は免除されます。
(ロ)
具体例

第1被保険者、第2被保険者2人とも死亡したときに保険金が支払われる契約 とします。
(a)
父の死亡時の課税関係
第 1 被保険者である父の死亡時では、保険金は未だ支払われません。 父の死亡時までに支払われた保険料の合計額について、後述する 「生命保険契約に関する権利」 として課税が行われます。
(b)
母の死亡時の課税関係
父の死亡時の 「生命保険契約に関する権利」 を子が相続していますと、母の死 亡時に子の受け取る父と母の保険金の合計額について、一時所得として所得税課 税が行われます。
一方、父の死亡時に、「生命保険契約に関する権利」 を母が相続していますと、 母の死亡時に父と母の保険金の合計額を子が相続により取得したものとみなされ、 相続税の課税が行われます。 このように、連生終身保険は、父の死亡時には父が支払った保険料の合計につ いては生命保険契約に関する権利として課税され、大幅な評価減の効果が期待で きます。 また、母の死亡時に受取る保険金については、所得税課税の場合には一 時所得として低い税負担で済み、相続税課税の場合には、生命保険金の非課税規 定の適用を受けることもできます。
(ハ)
留意点
(a)
連生終身保険は第1被保険者、第2被保険者がそれぞれ単独で終身保険に加入するよりも保険料は安くなります。 但し、被保険者が高齢になると、逆に保険料は割高になることがあります。
(b)
第1被保険者死亡時に子供に契約者変更を行う場合、相続時に一の契約を複数に分割することはできませんので、契約を複数に分けて行うことも検討すべきと考えられます。
(4)

生命保険契約に関する権利

(イ)
対策の内容
金融資産を多額に保有している資産家にとって、相続税を軽減するのに有効な生命保険活用として、「生命保険契約に関する権利」 を使った手法があります。 相続発生時に被相続人が保険料を負担している生命保険契約 (掛け捨て保険契約 は除く) で、被相続人以外の者がその生命保険契約の契約者でかつその契約に係る 被保険者である場合には、その被相続人が負担した保険料の合計額については、「生命保険契約に関する権利」 として評価され、大幅な評価減ができます。
(具体的算式)
払込保険料の合計額×70%-生命保険金額×2%
この評価は、払込期間が長くなればなるほど、払込保険料の額が多くなればなるほど評価減の効果は大きくなります。
(ロ)
具体例

既払込保険料1億円は預金等で置いておくと評価減は行われませんが、上記の生命保険を活用すると 6,600 万円の評価となり、3,400 万円の評価減となります。
(ハ)
留意点
(a)
一時払の保険料は既払込保険料の金額で評価するため、評価減の効果はありま せん。
(b)
掛け捨て保険は評価されません。
(c)
保険契約につき特約事項があるときは、その特約事項が生じたものとして生命保険金等を計算します。
(d)
上記生命保険権利の評価方法は平成 15 年度の改正で廃止され、平成 15 年4月1日以後の相続又は遺贈により取得した場合の価額は取得の時における時価とな りますが、当該権利を取得した時において当該契約を解約したとした場合に支払 われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前 納保険料の金額、余剰金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額) により評価して差し支えありません。
(注)
平成15年4月1日以後の相続又は遺贈により取得した場合においても、平 成 18 年3月 31 日までは、上記の計算により評価することができます。