遺産相続トピックス

休眠預金活用法について

2017.09.15

休眠預金活用法について|遺産相続の専門的な情報

現在、日本には、多額の休眠預金が存在しており、金融機関に預けられたまま10年間放置された預金の総額は、預金者から求められた払戻し額を差し引いても、毎年500億円から600億円にも上る状況にあります。

政府は、このような休眠預金を活用して、人口の減少や高齢化の進展等の社会の諸課題を解決すべく活動する民間団体へ助成、貸付等を行い、広く国民一般の利益の増進を図るため、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」、いわゆる「休眠預金活用法」を制定しました。

そこで、今回は、この「休眠預金活用法」についてご説明します。

休眠預金とは

皆さんの中にも、両親や配偶者が亡くなった後の遺産整理手続きが億劫となってしまい、故人名義の預金口座の払戻手続きを行わないまま放置しているという方や、就職や転勤等により引越しを重ねるうちに、引越し前の預金口座の存在を忘れてしまった、という方は、少なからずいるでしょう。休眠預金とは、このような、金融機関に預けられたまま放置され、10年以上入出金等の取引がされていない預金のことを言います。

 

休眠預金が預金保険機構に納付されるまでの流れ

休眠預金の預金口座内の残高が1万円以上である場合、各金融機関は、各預金者の届出住所宛に、当該預金等の存する金融機関・支店・預金等の種別(普通預金・定期預金等の種別)・口座番号及び残高等を通知します。

この通知が預金者に届いた場合には、通常通り、各金融機関は当該預金を管理することとなります。しかし、預金者が既に亡くなっている場合、転勤等により既に引っ越している場合等で、この通知が預金者に届かないときには、当該預金は、預金保険機構へ納付され、民間公益活動を行う団体への助成、貸付等が行われることとなります。

これに対して、休眠預金の預金口座内の残高が1万円未満である場合、金融機関は、預金者に事前の通知をすることなく、当該預金を預金保険機構へ納付します。そして、納付された預金を用いて、民間公益活動を行う団体への助成、貸付等が行われることとなります。
なお、休眠預金活用法は、同法施行日から1年経過後に新たに発生した休眠預金、すなわち、平成31年以降に発生した休眠預金について適用されますので、預金保険機構へ納付される可能性のある休眠預金は、平成31年以降に発生した休眠預金です。

預金保険機構へ納付された後の払戻請求の可否

 

休眠預金が預金保険機構に納付されてしまうと、預金者であった人は、預けていた金融機関に払戻しを請求することができなくなります。休眠預金が預金保険機構に納付されてしまうと、預金者が金融機関に対して有する債権は消滅することとなってしまうためです。

もっとも、預金者は、預金保険機構に対して預金者であったことを申し出ることにより、預金保険機構に対し、「当該預金の元本の額に、利子に相当する金額を加えた金銭(休眠預金等代替金)」の支払いを請求することができます。

 

まとめ

先にも述べたとおり、現在、日本には多額の休眠預金が存在しており、その額は、毎年500億円から600億円にも上る状況にあります。

そして、このような休眠預金の中には、親等の被相続人が亡くなった後の遺産整理手続きが行われず放置された預金も多く存在します。

遺産整理手続きは、相続人調査、遺産調査、遺産分割方法の協議、遺産分割協議書の作成、そして、預金等の払戻手続等という様々な手続きを踏む必要があります。このような遺産整理手続きを専門家ではない一般の方々のみで行うことは難しく、遺産整理手続きがなされないままとなっていることも多いようです。

朝日信託では、相続関連業務の専門家として、このような遺産整理手続きの代行を行っています。遺産整理手続きでお悩みの方は、一度、朝日信託までご相談ください。