遺産相続トピックス
タワマン節税について
2017.09.22
不動産購入による節税対策
建物の固定資産税や相続税は、当該建物を「固定資産税評価額」で評価し、算出します。そして、この固定資産税評価額は、実際の取引金額(時価)よりも低い評価額となることが多くなっております。例えば、実際の取引金額(時価)が1億円のマンションであっても、固定資産税評価額は8000万円と評価されている場合、この8000万円について、相続税が算出されることとなります。
つまり、現金あるいは預貯金よりもそのお金を不動産に換えた方が、相続税を節税できる場合が多いのです。
タワマン節税について
マンション1棟の固定資産税評価額は、マンション1棟で評価します。つまり、マンションの各部屋の所有者の固定資産税・相続税は、マンション1棟の固定資産税評価額を、各部屋の床面積で割って計算されることになります。階差による差はなく、同じ面積なら最上階と一階が同じ評価額となり、マンションのどの部屋であろうと、固定資産税・相続税も同じであることを意味しています。
しかし、一般的に、タワーマンションの上層階の方が、眺望もよく日当たりも良いこと等から、下層階と比べると、実際の取引金額は高くなります。実際、資産評価システム研究センターが全国の新築高層マンションの分譲価格を調べたところ、最上階の床面積当たりの単価は、最下層階より平均46%も高くなっていました。 この結果、マンションの高層階の部屋を買えば、通常の建物を購入する場合よりも、さらに相続税を節税することができます。
タワマン節税とは、このように、タワーマンションの上層階と下層階で相続税評価額は変わらないにもかかわらず、実際の売買金額は上層階の方が高い事を利用した節税対策のことを言います。
タワマン節税に対する規制
タワマン節税は、建物の実際の取引価格と固定資産税評価額が異なることを利用した節税対策であるといえます。しかし、そもそも、下層階の部屋の所有者からすると、実際の取引価格は上層階よりも低いにもかかわらず、上層階の部屋の所有者と同額の固定資産税・相続税を支払わなければならないことになります。また、タワマン節税は、タワーマンションの高層階を購入することが出来る富裕層しか用いることのできない節税対策である、といえます。このような、富裕層のみが優遇されることとなるタワマン節税には、批判が高まっていました。
そこで、現在、税制の見直しが進められており、平成29年度税制改正(財務省)でも、その見直しが次のように公表されました。高さ60メートルを超える建物(おおよそ20階建て以上の建物)を対象として、新たな固定資産税・相続税の新しい評価額の仕組みを取り入れます。
改正内容としては、1棟全体の税額は変更せずに中間の階を起点に上層階は増税して低層階は減税します。おおむね1階階数が上がるごとに0.25%増税されることとなります。なお、現在の税負担を前提に高層階を購入した部屋の所有者から批判が出ることを防ぐため、新しい税制の対象は、平成30年以降に引き渡す新築物件に限定されます。
まとめ
今回の法改正により、富裕層の間で広く節税策として用いられている、いわゆるタワマン節税を行うことは難しくなりました。
しかし、節税方法は、タワマン節税のみではありません。相続税の節税策に関心のある方は、一度、税理士等の専門家に相談されることをお勧めします。