相続問題の専門知識

相続の法律と手続全般

相続の事前準備について

遺言書の作成

遺産の分け方や相続手続をスムーズに進められるようお元気な間に遺言書を作成します。遺言書は自筆により作成する方法と公正証書で作成する方法があります。

詳しくは、「遺言の要式性と遺言の方式の種類について」をご覧ください。

寄付先の選定

遺産を寄付したい場合、信用できる寄付先を選定する必要があります。また、寄付先が遺産を受け入れてくれるのか事前に寄付先に問い合わせしておきましょう。

遺言執行者の選任

遺言書を作成する場合、相続手続をスムーズに進めるため、遺言書の内容を実現する者(遺言執行者)を決めておきましょう。遺言執行者として相続人を選任することもできますが、相続手続に利害関係なく、専門的な知識や経験を有している弁護士や税理士を選任することも考えられます。

詳しくは、「遺言執行者、遺言による遺言執行者の指定又は指定の委託とは」をご覧ください。

信託契約の検討

財産管理、事業承継、扶養目的の給付、受益者連続信託など、遺言だけでは実現できないニーズがある方については、信託を利用することが考えられます。信託契約は、目的やニーズに応じて内容が異なるオーダーメードの契約となるため、信託について信託会社や信託銀行に相談することが望ましいでしょう。

詳しくは、「(5) 個人信託の活用」をご覧ください。

養子縁組

当事者間において縁組意思がある方については、養子縁組の届出を行う必要があります。養子縁組により養子の方が法定相続人となり、法定相続人の数が増えることから、相続税が減額されることがあります。専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに養子縁組が無効とされるわけではない、とされています。

詳しくは、「(3) 養子縁組の活用」をご覧ください。

離縁

既に養子縁組されている方で養子縁組を解消したい場合は、離縁をする必要があります。離縁は、養親と養子により離縁届を提出する必要があります。養親と養子との間で協議がまとまらない場合は、裁判手続を利用して離縁できる場合もあります。

相続人の廃除

相続人の廃除により、遺留分を有する相続人から相続する資格を剥奪することができます。生前に家庭裁判所に申立てを行うか、遺言により廃除を行うこともできます。遺言により廃除を行う場合は、遺言執行者を選任しておく必要があります。

詳しくは、「Q1. 相続廃除とは?」をご覧ください。

相続税試算・相続税対策

相続税の有無や金額を把握するため、相続税の試算を行います。相続税が課税される見込みがある場合、相続税対策を行うことにより、相続税が減額されたり、非課税となることもあります。

詳しくは、「相続税はどのような人に課税される税金か」をご覧ください。

納税資金の準備

相続税の納付が必要な場合、遺産を取得した方が相続税を納付することになります。相続税をスムーズに納付できるよう、生前から納税資金の準備をしておく必要があります。

生命保険の検討

生命保険には、相続税の節税対策や相続開始後のご葬儀や納税資金の準備としての機能もあります。

詳しくは、「相続税で課税される財産」をご覧ください。

貴重品の整理

遺族の方がスムーズに相続手続ができるよう預貯金通帳や権利証などの貴重品については、整理しておくほうが望ましいでしょう。

生前贈与

贈与をする場合は、贈与契約書の作成や贈与税の申告が必要となることもあります。各年の受贈額が110万円以下の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので、申告は必要ありません。

詳しくは、「相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産がある場合の取扱い」をご覧ください。

相続時精算課税制度の利用

相続時精算課税制度を利用される場合は、最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に相続時精算課税制度選択届出書などの書類とともに贈与税申告書の提出が必要です。

詳しくは、「相続時精算課税制度を選択して贈与を受けた財産がある場合の相続税について」をご覧ください。

ご葬儀の方式

ご葬儀の方式について、ご希望がある場合、ご遺族の方や葬儀業者と相談しておいたほうが望ましいでしょう。

ご葬儀費用などの資金の準備

ご葬儀費用をご自身でご準備される場合、生命保険や葬儀費用信託などの活用のご検討が必要となります。

お墓の管理

お墓の管理方法についても、ご親族の方とご相談されたほうが望ましいでしょう。祭祀の承継者を指定する場合、生前に又は遺言により祭祀承継者を指定しておく必要があります。

成年後見人の選任

認知症などにより財産管理が困難な場合、本人やご親族の方などより家庭裁判所に対し、後見開始の申立てを行う必要があります。後見開始の申立てには、診断書や親族の同意書などの書類が必要となります。

任意後見契約

将来、認知症になった場合に備え、お元気な間に任意後見契約を行います。任意後見契約であれば、信頼できる人を任意後見人とし、任意後見人にあらかじめ決めた内容の事務を任せることができます。家庭裁判所への申立てにより、任意後見監督人を選任することにより、任意後見監督人が、任意後見人の活動を監督することになります。

死後事務委任契約

身寄りのない方や親族の方に死後の諸事務手続を任せられない方については、死後事務委任契約を行う必要があります。死後事務委任契約により、葬儀、遺品整理、各種契約の解約や清算等の死後の諸事務手続を第三者に任せることができるので、親族、大家さんやご近所の方に迷惑をかけることなく、死後の事務手続を行うことができます。

エンディングノートの作成

親族の氏名や連絡先、大まかな財産内容、葬儀や供養の内容、遺言の保管場所など遺族の方々に伝えておきたい事項をエンディングノートにまとめておくと、相続開始後の手続がスムーズに進みます。もっとも、遺産の分け方など相続に関する法的な事項については、別途、遺言書などを作成する必要があります。

(ご相続人の方)遺留分の放棄

遺留分のある相続人の方は、被相続人の相続の開始前に、家庭裁判所に申立てを行うことにより遺留分を放棄することができます。なお、被相続人の相続の開始後は、家庭裁判所に申立てを行わなくても、遺留分のある相続人の意思により、遺留分を放棄することができます。

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この記事の執筆
弁護士法人朝日中央総合法律事務所
弁護士法人朝日中央綜合法律事務所は遺産分割紛争、遺留分紛争、遺言無効紛争などの相続紛争の解決実績は2018年以降、1,695件(内訳:遺産分割紛争635件、遺留分紛争89件、その他遺産相続紛争971件)にのぼり、多くの依頼者から信頼を獲得しています。