ご相談受付

0120-956-251 受付時間:平日9:00~17:00

後継者の教育

事業承継マニュアル

第2章

事業経営の承継

集合写真
第1

後継者

3

後継者の教育

(1)
修業先の選定
後継者教育としては、いきなり自分の会社に入社させる方法、あるいは他社で修業さ せる、つまり「他人の釜の飯を食わせる」方法が考えられます。前者の方法の長所とし ては、①社長の経営方針や理念を伝授しやすいこと、②計画的、かつ自然に人脈を引き 継ぎやすいこと、③社員との一体感を醸しやすいこと等が挙げられます。短所としては、
身内ゆえどうしても甘くなりやすい、②自社の世界しか知らず視野が狭くなりがちと なる等が挙げられます。
(2)
他社に修業に出す場合
業先として通常考えられるのは、取引先や同業他社、元請的な会社への就職です。これは、親同士のつながりがあっての路線でしょう。
ここで注意すべきは、本人の気構えと修業期間でしょう。
まず、本人の気構えとしては、次の意識付けが必要であると思われます。
それは、その会社から何を獲得するか(学習内容、人脈等)を明確に意識すること、いずれ自社に戻るまでの修業に過ぎないという雰囲気を周囲に与えないことです。
単なる社会勉強くらいの漠然とした意識しかない場合には、あっという間に数年が経過します。また、自社に戻っても、今までの経験が実にならないことにもなります。
全くのコネなしで他社に就職するのであればともかく、取引先等の知り合いのところ に就職させてもらう場合には、当然のことながら就職先は、預かりものとして考えてしまいます。そういう目は、当然同僚・上司の態度にも反映されます。そのような場合、 本人自身が自社に戻るまでの修業に過ぎないという意識が強いと、周りからの親身かつ 厳しい教育を期待することはまず無理です。これでは、「他人の釜の飯を食わせる」こと になりません。本人には、他の従業員と同様、またはそれ以上の意識をもって、その会 社に貢献する位の意気込みをアピールすることが必要となります。
次に、修業期間ですが、ある程度の実務経験がついてからでないと意味がないことは 確かですが、余り間を置きすぎていわゆるサラリーマン根性がついてしまったり、修業 先に慣れすぎて自社の後を継ぐ意欲が殺がれてしまっては意味がありません。また、複 数の仕事をフル回転でこなす中小企業と組織の歯車として動く大企業では、求められる 内容も、学習量も意識も違ってくることに注意が必要です。
(3)
自社での教育
ここでの成功の鍵は、周到な教育計画と優秀な教育係の存在にあると思われます。 まず、教育計画ですが、初めに現場の仕事(営業・製造等の中核部門)を経験させてから、次いで管理部門(人事、経理、総務)を経験させてから、役員にするというのが 順当でしょう。その際には、実務経験が豊富で、教育能力に優れ、しかも自分の役割・ 本分をよくわきまえた教育係を確保しておくことが必要となってきます。
また、井の中の蛙にさせないためには、親の人脈の継承だけでなく、本人自身の人脈 の形成を積極的に奨励することです。親が懇意にしている方々も当然年齢が高いので、 人脈として陳腐化する可能性もあり、本人自身が活用できるとは限らないからです。本 人には、例えば商工会議所等の各種機関に出入りさせ、似たような年代、立場の仲間を 持つことで視野を広げさせ、また今後の会社経営に活用しうる人脈を形成する土台を築 かせることが必要となります。
(4)
第二創業について
最近、第二創業という言葉が世間に広まっています。また、2001年度版『中小企業白書』では、事業承継を機に会社を再生させるという意味で第二創業という語句が用いられています。
具体的には、複数の事業、会社を抱えていたり、新規事業を開拓しようと考えている 場合には、思い切って後継者を子会社の社長に立てて、その経営を任せてみるという方 法です。自ら経営にあたるのですから、人の姿を見たり、人から教わるのでは得られな い多くのことが身に付くと思われます。この場合には、たとえ仕事ぶりが頼りなく見え ても、自ら試練を乗り越えさせるために余程のことがない限りは経営に口を挟まないこ とが必要です。部下がこちらの顔色を窺うようになってはなりません。

目次