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相続開始後、遺言はどのように実行されるか

事業承継マニュアル

第3章

事業財産の承継

集合写真
第2

遺言による承継

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相続開始後、遺言はどのように実行されるか

(1)
遺言書の検認・開封
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なくこれを家庭裁判所に提出して、 検認の手続を行うよう請求することが必要です。遺言書の保管者がいない場合に、相続 人が遺言書を発見したときも同様です。ただし、公正証書遺言の場合は、検認は不要です。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立ち会いをもって開封しなければなりません。このような検認及び開封の規定に違反した者について は、過料の制裁が定められています。
検認は、遺言書の形式・態様等を調査・確認し、偽造・変造を防止して、その保存を 確実にするための手続です。遺言書の効力の有無と検認手続は無関係であり、検認をすませた遺言書であっても、これが無効とされる可能性は残ります。
(2)
遺言の執行
「遺言の執行」とは、遺言が効力を生じた後に、遺言の内容を法的に実現するのに必要な処理をすることをいいます。
遺言事項の中には、遺言の執行が必要なものとそうでないものがあります。遺言の効力発生とともに当然に遺言の内容が実現されるものは、遺言の執行をする必要がありませんが、そうでないものは、遺言執行者が、遺言内容を現実化するために必要な手続を執り行うことになります。
(イ)
遺言執行者
遺言執行者には、①遺言者が遺言により指定したり、その指定を第三者に委託する「指定遺言執行者」と、②指定遺言執行者がいないとき、利害関係人の請求によって家庭裁判所により選任される「選定遺言執行者」があります。
指定遺言執行者は、1人にすることも複数人にすることも可能です。選定遺言執 行者を請求できる利害関係人とは、相続人、受遺者、これらの者の債権者または不在者管理人、相続債権者及び相続財産管理人等です。
未成年や破産者は遺言執行者にはなれません。
遺言執行者の解任は、遺言執行者が任務を怠ったときその他正当な事由があるときに、利害関係人の請求によって、家庭裁判所に請求して行います。また、遺言執 行者は、正当な事由があるとき、家庭裁判所の許可を得て、自ら辞任することができます。
(ロ)
遺言執行者の職務権限
遺言執行者は、就職後遅滞なく、相続財産の目録を調製して、これを相続人に交付しなければなりません。相続人の請求があるときは、その立ち会いをもって財産目録を調製し、または公証人にこれを調製させなければなりません。
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務をもちます。ただし、遺言が特定の財産に関する場合には、遺言執行者の職務権限はその財産に限定されます。
(ハ)
遺言執行費用
遺言執行者に対する報酬は、遺言者が遺言で定めることができます。遺言で定められていないときは、相続財産の状況その他諸般の事情を考慮して家庭裁判所が定めることができます。
また、遺言の執行に要する費用は、相続人の遺留分を害しない範囲で相続財産の負担となります。

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