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株式贈与の方法

事業承継マニュアル

第3章

事業財産の承継

集合写真
第3

贈与による承継

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株式贈与の方法

(1)
書面によらない贈与
「書面によらない贈与」は、書面を作らず口頭で「〇〇を××に贈与する」旨の意思を表示し、相手がこれを受諾するものです。このような贈与も法律上有効です。しかし、書面による贈与と比べるとその効力は弱く、履行が終わらない限りいつでも撤回できます。撤回の意思表示は贈与の相手方に対してすることを要します。
逆に、履行してしまえばその部分については撤回できません。「履行が終わった」とは、原則としてその物ないし債権証書の引渡をいい、これには簡易の引渡を含みます。
株式の譲渡について、法は、「株式を譲渡すには株券を交付することを要す (商法205条)」としています。そのため、株式の贈与について「履行が終わった」というには、原則として、株券の交付を要します。ただし、株券発行が不当に遅滞している場合はその限りではないとの判例がいくつかあります。また、30 年間株式の発行されていない同族会社で父から子へ株式を贈与した事案について、当該事情のもとでは、贈与する合意があれば株式の交付がなくても意思表示のみによって株式を移転する効力が生じ、遅くとも税法上の申告手続がなされた時点においてその履行が完了したものというべきとした裁判例もあります(東京地判平元.6.27)。
また、会社に対する関係で、取得者が株主としての取り扱いを受けるためには株主名簿の記載変更手続を要します。法は「株式の移転は取得者の氏名及住所を株主名簿に記載するに非ざれば之を以て会社に対抗することを得ず(商法 206 条)」とし、会社は株主名簿の記載にしたがって株主の処理をすれば仮に名簿の記載と真の株主が違っていても免責されることになっているからです。
(2)
書面による贈与
「書面による贈与」とは、書面を作成して行う贈与です。遺言のように厳格な方式は定められていませんが、無用の紛争を起こさないためには、①誰が②誰に③何を④いつ付けで⑤贈与することが明確になるよう意識するとよいでしょう。特に贈与の対象物については、不動産であれば所在地や家屋番号等、株式であれば正式名称と株式何株分を誰に等、はっきり特定できるよう記載することが大切です。後日の紛争防止のためには、贈与の日付と署名も書いておくとよいでしょう。死因贈与にしたいのであればその旨も明確にする必要があります。負担付贈与にしたいのであれば、その負担の内容についても誰が誰に対してどのような義務を負うのか等、要点について明確にしておきましょう。

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