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相続廃除、相続欠格

事業承継マニュアル

第3章

事業財産の承継

集合写真
第1

法定相続による承継

5

相続廃除、相続欠格

相続人が欠格者または廃除者に該当する場合には、相続財産を相続により取得することができません。
(1)
廃除
被相続人がその意思に基づいて一定の行為を行うことにより、その人の相続に関して 推定相続人から相続権をなくすことを、推定相続人の廃除といいます。
廃除は、遺留分を有する推定相続人に対して行うもので、その要件は、1その推定相 続人に廃除原因があること(被相続人に対する虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行)、 2家庭裁判所の廃除の審判または調停があることです。
生前に行う場合は、被相続人が家庭裁判所に推定相続人廃除の審判の申立をします。 遺言で行うことも可能で、この場合には、遺言書にその相続人を廃除した旨を記載し、 相続開始後、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の手続をします。
廃除された相続人には遺留分もありませんが、廃除によっても、廃除された相続人の 子(直系卑属)が代襲相続する権利は奪われず、代襲相続人には遺留分があります。被 相続人はいつでも特段の理由なく廃除の取消をすることができ、これは家庭裁判所への 申立または遺言によって行います。なお、後述の欠格と異なり、廃除された人でも、遺 言で贈与された財産(遺贈)を受けることができます。
(2)
欠格
欠格者とは次に掲げる人をいいます(民法 891 条)。
被相続人や自分より先順位で、あるいは自分と同順位で相続人となるべき者を故意 に殺しまたは殺そうとして刑罰を受けた者。
被相続人が殺されたことを知っていながら、その犯罪を告発または告訴しなかった 者(その者に事のよしあしを判断する能力がないとき、または犯人がその者の配偶者 や直系血族であったときを除く)。
被相続人をだましたり強迫したりして、被相続人の遺言行為・遺言の撤回または変 更を妨害した者。
被相続人をだましたり強迫したりして、遺言をさせたり、遺言の撤回または変更を させた者。
被相続人の遺言を偽造・変造・破棄または隠したりした者。
上記に該当する者は法律上当然に欠格者となるので、特別な手続や訴えをする必要も なく、すべての利害関係人が主張できます。欠格者となった相続人は相続する権利を失 いますが、欠格者の子(直系卑属)が代襲して相続財産を取得できることは廃除と同様で す。しかし、廃除と異なり、欠格者は遺贈により財産を取得することはできません。

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