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遺言によってできること

事業承継マニュアル

第3章

事業財産の承継

集合写真
第2

遺言による承継

遺言という法形式には、被相続人の自由意思で法定の相続関係を変更できるというメリットがあります。具体的には、遺言によって、法定の相続分と異なる相続分を定めて 承継させたり(ただし、遺留分を侵害する部分については、減殺請求の制度あり)、特定 の相続人を廃除したり、法定相続人でない者に財産を承継させたりすることができます。
遺言執行者を指定することで、遺言の執行を確保することもできます。
また、遺言には、基本的に遺言者の単独の行為で有効に成立する性質があり、遺言者 が死亡する前にその効果を受ける者の受諾の意思表示がなくても有効に成立する点で、 生前贈与や死因贈与と相違します。このため、遺言による場合には、オーナーが生前に 後継者らに対して承継プランを明かしておく必要はありません。遺言では、遺言執行者 を定めたり、遺留分減殺方法の指定(「遺留分」の項で後述)等の手当を講じることがで きることも考えあわせれば、オーナーが事業承継計画に関する自由な意思を貫くことが より容易になるといえるでしょう。
遺言の制度を上手に利用すれば、オーナーが後継者に事業財産を承継させることも大 変スムーズになるわけです。
遺言によって行う事項のうち、中心となるのは、遺言者が遺言によって財産を無償で 譲渡する「遺贈」ですが、そのほかにも遺言によってできることはいろいろあります。 反面、遺言は法定の形式をとっていなければ効力を持ちません。遺言によってどんなこ とができるのか、遺言はどのような方法で行うのか、等について、以下にみていきまし ょう。
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遺言によってできること

としては、遺言執行者の指定または指定の委託、後見人または後見監督人の指定、相続分の指定または指定の委託、遺産分割方法の指定または指定の委託、遺産分割の禁 止、相続人の担保責任の指定、遺贈減殺方法の指定、があります。
としては、信託法上の信託、財産の処分(遺贈)及び寄附行為、子の認知、相続人 の廃除またはその取消、祭祀の承継者の指定、があります。
ここから見て取れるように、遺言は、財産を承継させるための手段です。オーナーの 会社における職務上の地位等は、遺言によって承継させることができません。事業承継 としては、オーナーの財産である株式を後継者に承継させ、これをもとに株式支配を行 わせるということが中核となります。

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