3
包括遺贈と特定遺贈……遺贈の承認・譲渡制限株式の承継手続について
遺贈は、ある特定の財産を譲渡するか・財産の全部または一定の割合を譲渡するかという点に着目して、包括遺贈(後者)と特定遺贈(前者)に分けられます。
(1)
包括遺贈
包括遺贈の場合、遺言によって承継される点で形式こそ違いますが、その実質は相続 とほとんど変わりません。そのため、受贈者は相続人と同一の権利義務をもちます。たと えば、遺贈の承認・放棄に関しても、相続人の承認・放棄の規定が適用され、遺言者が死 亡したことと自分に遺贈があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に放棄 の申述をしなければ、単純承認したとみなされます。
また、株式の包括遺贈を受けた場合は、相続による承継と同じく、譲渡制限会社の株 式であっても、取締役会の承認は不要です。ただし、株主としての権利行使に関しては、 会社は株主名簿の記載を基準として取り扱えば足りるとされていることから、株主総会 の招集通知や配当を受けたりするためには、株主名簿の書換を請求し、書き換えてもらう 必要があります。
また、株式の包括遺贈を受けた場合は、相続による承継と同じく、譲渡制限会社の株 式であっても、取締役会の承認は不要です。ただし、株主としての権利行使に関しては、 会社は株主名簿の記載を基準として取り扱えば足りるとされていることから、株主総会 の招集通知や配当を受けたりするためには、株主名簿の書換を請求し、書き換えてもらう 必要があります。
(2)
特定遺贈
特定遺贈の場合は、遺贈を承認することも放棄することも自由です(民法986条)。
しかし、いつまでも承認も放棄もしないままでは法律関係が不安定です。そこで、民法 は、特定遺贈の遺贈義務者や利害関係人等は、相当の期間を定めて、承認するか放棄す るかはっきりするよう催告することができると定めています。その期間内に回答がなけ れば承認したものとみなされます。
また、株式の特定遺贈を受けた場合は、譲渡制限会社の株式であれば、一般の株式譲 渡と同じく取締役会の承認手続が必要です。特定遺贈は、遺言者の意思による特定の財 産の無償譲渡であり、性質的には、相続よりも一般の譲渡(贈与)に近いためです。株 主としての権利行使について株主名簿の書換が必要である点は、包括遺贈の場合と同様です。
しかし、いつまでも承認も放棄もしないままでは法律関係が不安定です。そこで、民法 は、特定遺贈の遺贈義務者や利害関係人等は、相当の期間を定めて、承認するか放棄す るかはっきりするよう催告することができると定めています。その期間内に回答がなけ れば承認したものとみなされます。
また、株式の特定遺贈を受けた場合は、譲渡制限会社の株式であれば、一般の株式譲 渡と同じく取締役会の承認手続が必要です。特定遺贈は、遺言者の意思による特定の財 産の無償譲渡であり、性質的には、相続よりも一般の譲渡(贈与)に近いためです。株 主としての権利行使について株主名簿の書換が必要である点は、包括遺贈の場合と同様です。