3
後継者等に対する株式の贈与
(1)
自社株の贈与を効果的に行うには、以下の点がポイントとなります。
(イ)
誰に贈与するのか
(ロ)
どのような方法で贈与するのか
(ハ)
どれだけ贈与するのか
(ニ)
贈与の証拠をどのように残すか
相続税を心配するあまり、後継者のみならず、兄弟・甥姪・遠縁の親戚にまで株式を贈与して分散させる例も見かけます。しかし、株式が分散すれば、当然、オーナー及び後継者の会社を支配する基盤が小さくなります。支配基盤が小さくなり他に同程度の持分割合を持つ株主がいるような状態では、後継者の会社経営は困難をきわめます。
現在は友好的株主といえる親戚であっても、代替わりすればどんどん遠縁になります。
そうでなくても、親族間での相続には「争族」と揶揄されるほど紛争が多いのが現実です。このように、分散にはリスクがあり、基本的に、株式はできる限り後継者本人(場合によってはその直系の子を含む)に集中させておくべきです。
相続税については、しかるべき対策をもって手当てすることを考えましょう。この点は、本書でも、「第4章 事業財産の承継と税」及び「第5章 事業財産の承継と節税方法」の項においてご説明しています。いつどれだけの株式を贈与するのがよいか、税務当局に対する証拠を残すという意味で一定の納税をも考慮すべきかという詳細については、当該項目をご参照ください。
現在は友好的株主といえる親戚であっても、代替わりすればどんどん遠縁になります。
そうでなくても、親族間での相続には「争族」と揶揄されるほど紛争が多いのが現実です。このように、分散にはリスクがあり、基本的に、株式はできる限り後継者本人(場合によってはその直系の子を含む)に集中させておくべきです。
相続税については、しかるべき対策をもって手当てすることを考えましょう。この点は、本書でも、「第4章 事業財産の承継と税」及び「第5章 事業財産の承継と節税方法」の項においてご説明しています。いつどれだけの株式を贈与するのがよいか、税務当局に対する証拠を残すという意味で一定の納税をも考慮すべきかという詳細については、当該項目をご参照ください。
(2)
その他
贈与についても、遺留分の制限が影響します。すなわち、遺留分を侵害する贈与は、遺留分減殺請求の対象となります。具体的には、①相続開始前の1年間に行われた贈与、②それより前であっても当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知りつつ行った贈与、については、遺留分減殺請求権を行使される可能性があることに留意が必要です。この点の詳細については、本書第3章・第2「遺言による承継」の中の遺留分の項をご参照ください。