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預貯金契約

預貯金契約一覧

遺留分 代襲相続預貯金契約

判例No. 1071

東京高等裁判所 平成27年(ワ)第31689号 貯金払戻請求事件

事件番号東京高等裁判所/平成27年(ワ)第31689号
判決日付平成28年10月4日
判示事項被相続人が、養子の子ら(養子縁組前に生まれていたもの)に預貯金を遺贈する内容の遺言をしたところ、被相続人の子である原告が、養子の子らに対して遺留分減殺請求権を行使したうえ、ゆうちょ銀行に対し、戸籍謄本や遺言書等を提示して、貯金のうち原告の遺留分割合に相当する金額の払戻し及び遅延損害金の支払いを請求した事件。

ゆうちょ銀行は、
(1)被相続人の相続開始前に養子が死亡していたため、法解釈によっては養子の子らも被相続人の代襲相続人となり得ること、また、ゆうちょ銀行には特別受益等の事情は分からないため具体的な遺留分侵害額を知る由がないこと、さらに、本件においては供託することもできない事情があったことから、払戻しを行うことはできず、

(2)払戻しを拒んだとしても遅延損害金は発生しないうえ、

(3)仮に遅延損害金が発生するとしても、被相続人が貯金口座を開設し当時、ゆうちょ銀行は民営化の前であったため、遅延損害金は商事法定利率の6%ではなく、民事法定利率の5%であると主張して、原告の請求を拒んだ。

本判決は、
(1)民法第887条第2項の解釈から養子縁組前の生まれていた養子の子は養親の代襲相続人とならないことは明らかであり、ゆうちょ銀行も戸籍謄本等によって原告が被相続人の相続人であることを認識し得たこと、特別受益等の事情が分からないまま払戻しを行うことによって他の相続人との関係で後から紛争が生じる可能性や供託ができない場合がある可能性は否定できないものの、具体的な遺留分金額が明らかとならない限り払戻しを受けられないとすると遺留分減殺により取得した権利の行使が不当に妨げられる結果となるうえ、本件においては特別受益や寄与分など、原告の具体的な遺留分侵害額が抽象的な遺留分割合と異なることをうかがわせるような事情は存在しないことから、ゆうちょ銀行には払戻しに応じる義務があり、

(2)払戻しを行わなかったことは履行遅滞にあたり遅延損害金が発生するとし、さらに、

(3)郵政民営化法第174条1項の規定から、民営化前の貯金も民営化の際にゆうちょ銀行が受け入れた預金となることから遅延損害金の利率は商事法定利率の6%となる、と判断した。
相続一般 遺産の範囲預貯金契約

判例No. 1067

最高裁判所第1小法廷 平成28年(受)第579号 預金返還等請求事件

事件番号最高裁判所第1小法廷判決/平成28年(受)第579号
判決日付平成29年4月6日
判示事項共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
判決要旨定期預金は、預入れ1口ごとに1個の預金契約が成立し、預金者は解約をしない限り払い戻しをすることができないのであり、契約上その分割払い戻しは制限されている。そして、この制限は、一定期間内には払い戻しをしないという条件とともに定期預金の利率が高いことの前提となっており、単なる特約ではなく定期預金債権の要素というべきである。そして、この理は、定期積金についても異ならない。したがって、共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはない。
遺産分割 遺産の範囲預貯金契約

判例No. 1065

最高裁判所大法廷 平成27年(許)第11号 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

事件番号最高裁判所大法廷決定/平成27年(許)第11号
判決日付平成28年12月19日
判示事項

共同相続された普通預金債権、通常貯金債権および定期貯金債権は、遺産分割の対象となるか。

判決要旨

共同相続された普通預金債権、通常貯金債権および定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる。

遺産分割 共同相続人遺産の範囲預貯金契約

判例No. 1037

最高裁判所第2小法廷 平成21年(受)第565号 遺産確認請求事件

事件番号最高裁判所第2小法廷判決/平成21年(受)第565号
判決日付平成22年10月8日
判示事項

定額郵便貯金債権が遺産に属することの確認を求める訴えに、確認の利益が認められるか。


判決要旨

郵便貯金法は定額郵便貯金債権の分割を許容するものではなく、同債権は、その預金者が死亡したからといって、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。そうであれば、同債権の最終的な帰属は、遺産分割の手続において決せられるべきことになるのであるから、遺産分割の前提問題として、民事訴訟の手続において、同債権が遺産に属するか否かを決する必要性も認められるというべきである。
そうすると、共同相続人間において、定額郵便貯金債権が現に被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えについては、その帰属に争いがある限り、確認の利益があるというべきである。


相続一般 共同相続人預貯金契約

判例No. 1023

最高裁判所第1小法廷 平成19年(受)第1919号 預金取引記録開示請求事件

事件番号最高裁判所第1小法廷判決/平成19年(受)第1919号
判決日付平成21年1月22日
判示事項

金融機関は預金者に対して預金口座の取引経過開示義務を負うか。


共同相続人の一人が被相続人名義の預金口座の取引経過開示請求権を単独で行使することができるか。


判決要旨

金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う。


共同相続人の一人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、他の共同相続人全員の同意がなくても、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる。