相続一般

相続一般一覧

相続一般 確認訴訟共同相続人当事者適格相続分の譲渡

判例No. 1048

最高裁判所第2小法廷 平成23年(受)第603号 遺産確認、建物明渡等請求事件

事件番号 最高裁判所第2小法廷判決/平成23年(受)第603号
判決日付 平成26年2月14日
判示事項

共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を有するか。

判決要旨

共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する割合的な持分を全て失うことになり、遺産分割審判の手続等において遺産に属する財産につきその分割を求めることはできないのであるから、その者との間で遺産分割の前提問題である当該財産の遺産帰属性を確定すべき必要性はないというべきである。そうすると、共同相続人のうち自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を有しない。

相続一般 相続放棄相続債務

判例No. 1052

東京高等裁判所 平成25年(ラ)第1685号 相続放棄申述却下審判に対する抗告事件

事件番号 東京高等裁判所決定/平成25年(ラ)第1685号
判決日付 平成26年3月27日
判示事項

平成22年8月8日に開始した相続について、相続人が被相続人の債務の存在を認識した日(平成25年3月26日)が相続放棄の熟慮期間の起算日であるとして、平成25年4月2日になされた相続放棄の申述を却下した原審判を取り消して、相続放棄の申述が受理された事例。


相続一般 相続放棄保険

判例No. 1054

神戸地方裁判所尼崎支部 平成25年(ワ)第1048号 生命保険金請求事件

事件番号 神戸地方裁判所尼崎支部判決/平成25年(ワ)第1048号
判決日付 平成26年12月16日
判示事項

保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の「法定相続人」と指定した場合、被保険者の死亡により具体化した保険金請求権は各相続人の固有財産となるから、(1)各相続人が相続放棄をしても、(2)各相続人が保険金請求権を放棄する旨の意思表示をしても、当該保険金請求権が他の相続人に帰属したり、被相続人の相続財産に帰属したりすることはないとされた事例。


相続一般 価額弁償

判例No. 1063

最高裁判所第2小法廷 平成26年(受)第1312号、平成26年(受)第1313号 価額償還請求上告、同附帯上告事件

事件番号 最高裁判所第2小法廷判決/平成26年(受)第1312号、平成26年(受)第1313号
判決日付 平成28年2月26日
判示事項

相続の開始後、認知によって相続人となった者が、他の相続人に対し遺産の価額を請求できるとする民法910条における遺産の価額算定の基準時。


民法910条に基づく価額の支払債務が履行遅滞となる時期。


判決要旨

相続の開始後認知によって相続人となった者が他の共同相続人に対して民法910条に基づき価額の支払を請求する場合における遺産の価額算定の基準時は、価額の支払を請求した時である。


民法910条に基づく他の共同相続人の価額の支払債務は、期限の定めのない債務であって、履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。


相続一般 遺産の範囲預貯金契約

判例No. 1067

最高裁判所第1小法廷 平成28年(受)第579号 預金返還等請求事件

事件番号 最高裁判所第1小法廷判決/平成28年(受)第579号
判決日付 平成29年4月6日
判示事項 共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
判決要旨 定期預金は、預入れ1口ごとに1個の預金契約が成立し、預金者は解約をしない限り払い戻しをすることができないのであり、契約上その分割払い戻しは制限されている。そして、この制限は、一定期間内には払い戻しをしないという条件とともに定期預金の利率が高いことの前提となっており、単なる特約ではなく定期預金債権の要素というべきである。そして、この理は、定期積金についても異ならない。したがって、共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはない。