遺産分割

遺産分割一覧

遺産分割 特別受益寄与分持ち戻し免除

判例No. 1034

東京高等裁判所 平成21年(ラ)第617号 遺産分割審判等に対する抗告事件

事件番号 東京高等裁判所決定/平成21年(ラ)第617号
判決日付 平成22年5月20日
判示事項

寄与相続人であるとともに特別受益相続人でもある相続人がいる場合、同人が持ち戻しを命じられた特別受益の全体額が具体的相続分を超過するとしても、その超過した特別受益部分を審判により認定された寄与分からさらに差し引くことはできないとした事例。


遺産分割 錯誤遺産分割協議の無効

判例No. 1069

東京地方裁判所 平成26年(ワ)20311号 遺産分割協議不存在確認等請求事件

事件番号 東京地方裁判所判決/平成26年(ワ)20311号
判決日付 平成28年9月8日
判示事項 相続人の一人が他の相続人に対し遺産分割協議の不存在を主張し、予備的に同協議の錯誤無効を主張した事案である。原告は、遺産分割協議の不存在ないし錯誤無効の理由として、
(1)遺産分割協議書の内容の協議が行われたことはないこと、
(2)署名押印が必要な金融機関への提出書面と共に遺産分割協議書を渡され、気が付かないうちに遺産分割協議書に署名押印をしてしまったことを主張した。

これに対し、本判決は、原告の供述は、自ら署名・押印を行ったか否か等の重要な点で変遷しており信用できないと述べた上、原告が他の相続人と同様、遺産分割協議書に自ら署名・押印した事実が認められる以上、遺産分割協議書は真正に成立したものと推定され、これを覆すに足る証拠がないとして、遺産分割協議の成立を認めた。

また、原告が、遺産分割協議書の作成に先立って行われた協議に毎回同席し、その経緯を見ていたこと、協議段階において暫定的な分割案を示した書面を受け取っていたこと等を認定し、原告が遺産分割協議書の内容を理解した上で同協議書に署名押印したことが推認できるとして、原告の錯誤無効の主張も認めなかった。
遺産分割 扶養義務寄与分介護

判例No. 1036

東京高等裁判所 平成21年(ラ)第878号 遺産分割審判等に対する抗告事件

事件番号 東京高等裁判所決定/平成21年(ラ)第878号
判決日付 平成22年9月13日
判示事項

相続人の妻による被相続人の介護が、本来であればヘルパー等を雇って行われるのが相当である状況で行われたこと、その他の介護も約13年余りの長期にわたって行われたことから、当該妻による介護は、同居の親族の扶養義務の範囲を超え、相続人の履行補助者として相続財産の維持に貢献した側面があると評価することが相当であるとして、200万円の寄与分が認められた事例。


相続人が、約15年間、自己の給与をいったん家計に入れて被相続人にその管理を任せることによって、被相続人の相続財産の維持及び増加に寄与したものということができるとして、200万円の寄与分が認められた事例。


遺産分割 代償分割

判例No. 1070

大阪高等裁判所 平成28年(ラ)56号 遺産分割審判及び寄与分を定める処分申立却下審判に対する抗告事件

事件番号 大阪高等裁判所決定/平成28年(ラ)第56号
判決日付 平成28年9月27日
判示事項 遺産の中の一部の土地について、相続人の一人に取得させた上で代償金の支払を命じるなどした原審判の一部を変更し、同土地の共有取得を命じた事例。

本決定は、抗告人が全ての土地を取得して代償金を支払う方法による遺産分割では相手方の取得希望が一切叶えられないこと、抗告人の資力からみて代償金不払の危険が大きいこと、当該土地には抗告人が代表者を務める会社の使用する建物が存在すること、抗告人及び相手方の双方が当該土地の換価分割に反対していること等の事情から、相手方が当該土地の共有取得に反対しているとしても、双方の希望と公平な分割を実現するためには、当該土地を共有取得とすることもやむを得ないと判示した。
遺産分割 共同相続人遺産の範囲預貯金契約

判例No. 1037

最高裁判所第2小法廷 平成21年(受)第565号 遺産確認請求事件

事件番号 最高裁判所第2小法廷判決/平成21年(受)第565号
判決日付 平成22年10月8日
判示事項

定額郵便貯金債権が遺産に属することの確認を求める訴えに、確認の利益が認められるか。


判決要旨

郵便貯金法は定額郵便貯金債権の分割を許容するものではなく、同債権は、その預金者が死亡したからといって、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。そうであれば、同債権の最終的な帰属は、遺産分割の手続において決せられるべきことになるのであるから、遺産分割の前提問題として、民事訴訟の手続において、同債権が遺産に属するか否かを決する必要性も認められるというべきである。
そうすると、共同相続人間において、定額郵便貯金債権が現に被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えについては、その帰属に争いがある限り、確認の利益があるというべきである。