遺留分
遺留分一覧
判例No. 1017
最高裁判所第1小法廷 平成18年(受)第1572号 遺留分減殺、建物明渡等請求事件
事件番号 | 最高裁判所第1小法廷判決/平成18年(受)第1572号 |
---|---|
判決日付 | 平成20年1月24日 |
判示事項 | 受遺者から民法1041条1項規定の価額弁償の意思表示を受けた遺留分権利者が受遺者に対し価額弁償を請求する旨の意思表示をした場合、当該遺留分権利者が価額弁償請求権を確定的に取得する時期はいつか。 |
判決要旨 | 遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合には、その時点において、当該遺留分権利者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得すると解するのが相当である。 |
判例No. 1025
最高裁判所第3小法廷 平成19年(受)第1548号 持分権移転登記手続請求事件
事件番号 | 最高裁判所第3小法廷判決/平成19年(受)第1548号 |
---|---|
判決日付 | 平成21年3月24日 |
判示事項 | 遺留分の侵害額の算定について、相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合に、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することができるか。 |
判決要旨 | 相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合、遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り、当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきである。そして、当該相続人が相続債務もすべて承継したと解される場合、遺留分の侵害額の算定においては、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されないものと解するのが相当である。 |
判例No. 1031
最高裁判所第2小法廷 平成21年(受)第35号 債務不存在確認等、遺言無効確認等請求事件
事件番号 | 最高裁判所第2小法廷判決/平成21年(受)第35号 |
---|---|
判決日付 | 平成21年12月18日 |
判示事項 | 遺留分減殺請求を受けた受遺者が、民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をした後、目的物の現物返還請求も価額弁償請求も受けていない場合に、遺留分減殺請求をなした者を被告として、弁償すべき額の確定を求める訴えをすることができるか。 |
判決要旨 | 遺留分権利者から遺留分減殺請求を受けた受遺者が、民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をしたが、遺留分権利者から目的物の現物返還請求も価額弁償請求もされていない場合において、弁償すべき額につき当事者間に争いがあり、受遺者が判決によってこれが確定されたときは速やかに支払う意思がある旨を表明して、弁償すべき額の確定を求める訴えを提起したときは、受遺者においておよそ価額を弁償する能力を有しないなどの特段の事情がない限り、上記訴えには確認の利益がある。 |
判例No. 1039
最高裁判所第1小法廷 平成23年(許)第25号 遺産分割審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
事件番号 | 最高裁判所第1小法廷決定/平成23年(許)第25号 |
---|---|
判決日付 | 平成24年1月26日 |
判示事項 | 遺言による相続分の指定が遺留分減殺請求により減殺された場合、各相続人の相続分はどのように修正されるか。 特別受益に当たる贈与について持戻し免除の意思表示がなされている場合に、遺留分減殺請求がなされたことによる相続分の算定方法。 |
判決要旨 | 相続分の指定が、特定の財産を処分する行為ではなく、相続人の法定相続分を変更する性質の行為であること、及び、遺留分制度が被相続人の財産処分の自由を制限し、相続人に被相続人の財産の一定割合の取得を保障することをその趣旨とするものであることに鑑みれば、遺留分減殺請求により相続分の指定が減殺された場合には、遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が、その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正されると解するのが相当である。 被相続人が、特別受益に当たる贈与につき、当該贈与に係る財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の意思表示をしていた場合であっても、上記価額は遺留分算定の基礎となる財産額に算入されるものと解される。そこで、被相続人の当該意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合、当該贈与に係る財産の価額は、上記意思表示が遺留分を侵害する限度で、遺留分権利者である相続人の相続分に加算され、当該贈与を受けた相続人の相続分から控除される。 |
判例No. 1050
最高裁判所第2小法廷 平成25年(受)第1420号 遺留分減殺請求事件
事件番号 | 最高裁判所第2小法廷判決/平成25年(受)第1420号 |
---|---|
判決日付 | 平成26年3月14日 |
判示事項 | 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に法定代理人がいない場合、民法158条1項の類推適用により時効の完成が停止されるか。 |
判決要旨 | 時効期間満了前6か月以内の間に、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に法定代理人がいない場合において、少なくとも、時効の期間満了前の申立てに基づき、後見開始の審判がされたときは、民法158条1項の類推適用により、法定代理人が就職した時から6か月を経過するまでの間は、その者に対して時効は完成しないとして、法定代理人による遺留分減殺請求権の行使が認められた事例。 |