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判例No. 1047

最高裁判所第2小法廷 平成22年(受)第2355号 共有物分割等請求事件

事件番号 最高裁判所第2小法廷判決/平成22年(受)第2355号
判決日付 平成25年11月29日
判示事項

遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合の、共有物分割と遺産分割の関係。


遺産共有持分の価格を賠償させる方法による共有物分割の判決がされた場合に支払われる賠償金の性質。


当該判決において賠償金の支払等に関し命じ得る事項。


判決要旨

共有物について、遺産分割前の遺産共有の状態にある共有持分(以下「遺産共有持分」といい、これを有する者を「遺産共有持分権者」という。)と他の共有持分とが併存する場合、共有者(遺産共有持分権者を含む。)が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり、共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり、この財産の共有関係の解消については同法907条に基づく遺産分割によるべきものと解するのが相当である。


遺産共有持分と他の共有持分とが併存する共有物について、遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ、その者に遺産共有持分の価格を賠償させる方法による分割の判決がされた場合には、遺産共有持分権者に支払われる賠償金は、遺産分割によりその帰属が確定されるべきものであるから、賠償金の支払を受けた遺産共有持分権者は、これをその時点で確定的に取得するものではなく、遺産分割がされるまでの間これを保管する義務を負うというべきである。


裁判所は、遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ、その者に遺産共有持分の価格を賠償させてその賠償金を遺産分割の対象とする価格賠償の方法による分割の判決をする場合には、その判決において、各遺産共有持分権者において遺産分割がされるまで保管すべき賠償金の範囲を定めた上で、遺産共有持分を取得する者に対し、各遺産共有持分権者にその保管すべき範囲に応じた額の賠償金を支払うことを命ずることができる。